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わたしの登場曲

いつも優しくてほっかりする記事を書いてくださっている「石元みとんさん」の企画に乗っかります。

 「わたしが登場するときはどんな曲」?
 え〜と、わたしがどういう状況で登場するかから、いろいろ考えましたが、「ダサくても古くてもこれしかないな」と思って選びました。

ザ ブルーハーツの「リンダリンダ」です。

 ヒロト大好き! 
 でも、それを抜きにしても、なんていうかな? わたしはこんな気持ちで登場するような気がするのです。

 仕事の話になります(ケアマネ業です)。
 最近関わっているターミナルケアのおっちゃん。話が好きで「毎日でも来ていいよ」って言ってくれます。
 訪問看護さんが「困ったことないですか? 何かしてほしいことはないですか?」というと「とくにないけど、あなたにずっといてほしい」と言って笑わせてくれます。

 わたしはこう思うんです。

 こんなに話好きで、誰かが来るたびにベッドから身を乗り出して話すのに、彼がどこにも外出しないのはおかしいのではないか?と。

 以前やっていたお店に行きたくないですか? 近いし車椅子があれば行けますよ、と言うと、いや、店に来る人には会わないとのこと。
 きっと心配されたりは嫌なんでしょう。
 ということで、車椅子の話はそれで終わりでした。

 ある朝、そんな彼が家族に頼んで、わたしに電話をかけてきました。車椅子が欲しいと。
 さっそく話を聞きに行きました。

 「もうね。頼るのは嫌だって思うのはやめたんだよ。看護師さんがお風呂に入るの手伝ってくれたら、楽に湯船まで入れてすごく気持ちよかった。そうか、無理して頑張らなくて、いろんな人に手伝ってもらったり、頼ったりしながら、これからは楽に生きていけばいいんだと、そのとき思ったんだよ」

 車椅子があったらどこに行きたいですか?

 「前にかかっていた病院の先生に会いに行きたい。昔からの知り合いだったんだよね、今は訪問の先生が来てるけど、前の先生に車椅子で元気な姿を見せに行きたい。それからいつも仕入れてた店を見に行きたい、あと、ワークマンとかも見たいかな。それと、野球場に行きたい。近くの、いつも試合をしていた野球場を見に行きたい。誰に会いたいとかじゃないんだよ。ただ、野球のマウンドを見たい」
 大人になってからもずっと野球に関わっていた彼らしい言葉でした。

 素敵すぎます!
 軽量で、折りたたんで娘さんの車に載せれるのにしましょうと二人で決めました。
 その日の夕方、書類を仕上げて、福祉用具のおにいちゃんとわたしが、新しい車椅子を持って登場しました。

 ここです!
 ここで「リンダリンダ」です!

 リンダリンダ〜🎵 リンダリンダ〜〜〜🎵
 もしも僕が、いつか君と出会い話しあうなら〜。
 そんなときはどうか愛の意味を知ってください。

 理由はありません。
 こんな場面では、わたしはこんな気持ちで心をいっぱいにして登場するのです。

 「意思決定支援」ってふわっとしすぎていて、何がどうなのかうまく説明できないけれど。
 「車椅子借りれますよ〜」というわたしの言葉で「やりたいこと」が広がっていったのがすごく嬉しかったのです。

 頭の中にドラムが鳴り続け、ヒロトの声がリフレインします。

 わたしの心は「リンダリンダ」です!


 

 

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