走る女
マンションから女。
エントランスの自動ドアが開いて
女が飛び出してきた。
すごい形相。
よく見ると裸足。
走る走る。
なにかとんでもないことがおきたんだろうか。その足がなんだか空回りして、若干前のめりな感じで走っていった。
…が、そのあとに制服をきた男たちが追いかけ、あっけなく囚われの身。
空気を蹴りながらふてくされたように
空を見て、女が戻ってきた。
と、思った瞬間!
え!
また女が走った。
するりと男たちの腕を抜けて、
裸足で走る。
走る女。速い!!
え、うそ!
マンションのエントランスでは、角に隠れていた別の制服たちが何かに駆け寄った。
マンションからにやにやした男。
歩く男。
狂ってるのか。
笑った顔にギラギラ光る目が不気味だった。
とたんに、走り出した。
走る男。
サンダルで走る。
遅い。まっすぐ走れず。
男はすぐに捕らえられて、手錠。
車の中に投げ入れられた。
裸足で走る女はどこまで行ったのか…
9月だというのに34℃の暑すぎる昼下がりの、不気味なくらい静かな一瞬の出来事。
誰も見ていない気さえした。
パトカーは4台もマンションのそばに停まっていたのに。
現場をとっくに過ぎたあたりで信号待ちをしていたら、
遠い後方にサイレンの音が聞こえて来た。
捕まったのか、すこし騒ぎが大きくなったのか。
登場人物が増えてたりして…
なんとも物騒なのに、なんだかちょっとドラマを見ているような気持ちになってしまって少し反省。
これはドラマではなくリアル。
なにがあったのか…
とにもかくにも、
用心用心、ご用心!
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