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バスとの因縁物語(1話)

僕が育ったところは、日本の端の方。その街の中心地からまた外れであった。
家の近くに鉄道はないとは言わないが、家から自動車で10分くらい行くと線路が1本。単線である。それが何線という名であるのか大人になるまで知らず、つまりは利用する必要性は一度もなかったのであった。ということで未成年者の移動手段は徒歩か自転車、それかバスだった。
僕の暮らしていた地域には、乗っていても側(はた)で見ていても話題の多いバス会社の独壇場であった。

いろいろ時効であろう。バスにまつわる話を幾つかしよう。

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1話

とにかくとばす。
交通渋滞は茶飯事の道路事情のなか、時刻表なるものに懸命について行きたいのだろうが、凄まじく飛ばす。一度バス停に勢いよく滑り込み、人が乗れる間を与えず一目散に駆け抜けていくバスを見て、友達と「あのバスの運転手、猛烈にトイレに行きたいとしか思えんぞ〜!!」と笑い合ったこともあった。
しかし基幹道路ならまだいいが(よくはないが)、歩道もない片側1車線の直角に曲がりくねった狭い道路でもその勢いは全く衰えることを知らない。
あの巨体を自在に操る技術、車幅間隔は神業としか言いようがなく、僕が小学生の頃、学校からの帰宅中、突風のように僕の横を通り過ぎたバスは、まさに僕の側面を擦って(こすって)抜き去っていった。何と僕が着ていたジャンパーの脇の部分だけを破るという神業で!!
狭い交差点を直角に曲がる技術も素晴らしく、あの巨体が回転するようにグルグルと曲がる様(さま)はあたかも遊園地のアトラクション並みにスリル満点だった!

今では当時のような運転には(多分、、)お目にかかれないと思うと、懐かしい気がしないでもない。(笑)

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