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『彼女はバーチャルアイドル』 9.カフェにて...続き

そのうち美穂は本題を切り出した。
美穂は自分のスマホで香織が勤める風俗店のホームページにある”かおりん”のページ、お客さんに対する「お礼日記」なるものを香織に見せる。サッと香織の顔から血の気が引く。
「すごいね美穂ちゃん、どうしてわかるの?顔出してないのに、、念力あるの?」

「双子だからかな?あたりでしょ?これあんたでしょ?、、というか、今何でこんなことやってるの?あんた男の経験なかったんでしょ?もう小説書かないの?」

「こういう事、若い今しか出来ないと思ってたの、、でも違ったよ。本気でこの仕事やってる接客のプロがいる事もわかったし。
私、作家になるかはわからないけど、私の表現にはもっといろんな経験が必要だって思ったの。RPGの延長みたいな小説は書きたくないの。
あと、言っとくけど私だって彼氏いた事はあるよ。美穂ちゃんが知らない事だってあるんだよ。」

「そう、でも香織ちゃん作家でしょ?この日記、どうしてこんなにバカっぽく書くの?このお客さん毎週来てるでしょ?」

「バカっぽいかなぁ、、日記は謎な事も書きつつ秘密感出して仲がいい雰囲気作らないと、、あっさりしてると男の人って意外と気にするの。自分のことに興味がないんじゃないかって。かと言ってあんまり具体的に書くと他のお客さんの嫉妬を買うし、誰も傷つかないようにしないと、、、
日記はお礼でも日常のことでもコンスタントに上げて店のサイトで存在感出さないと。お客さんに会ったときは距離感が大事みたい。私はツンデレが一番飽きられないかなって思ってる。本当はやっちゃダメな事でも自分は特別に許されているっていうのが男の人は好きみたい。
その人は週1だけど、週3来た人もいるよ、皆勤。5時間くらい一緒にいた人もいるよ、独占。」

この子が遊ばれてるはずなのに逆のこの子がおじさんを弄んでいるかのように美穂は感じた。
こっちの世界でもこの子はバーチャルアイドルなのか。

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