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完全キャッシュレス飲食店のデータを全部公開!日本橋HOT SAND LAB mmの開業から1ヶ月の軌跡

初めまして。株式会社NODの沼田裕輝と申します。

NODはもともと建築の会社だったのですが、最近日本橋の三越前で飲食店を経営することになりました。HOT SAND LAB mm(ミリ)と名付けられたこの店はホットサンド専門店。老舗のお寿司屋さんが営業していた当時の内装を転用した和洋折衷の雰囲気を持つ店内で、日本橋の老舗や地方の名産品とコラボレーションした期間限定ホットサンドを楽しめます。

mmでもっとも特徴的なのが、現金が使えない完全キャッシュレス店舗であること。クレジットカード・デビットカード・交通系IC・QuicPay・iDしか使えません。(QRコード決済は近日対応予定です。)

コロナウイルスの感染拡大対策として非接触での購買体験が重要であること、購入をスムーズに体験していただけること、そしてレジ締めなどに代表される現金管理コストをできるだけ小さくすることを目的として、このような挑戦的とも言える取り組みを行いました。

12月に晴れてグランドオープンしたばかりのmmを運営してきた1ヶ月の間に蓄積したデータをありのまま皆様に公開し、キャッシュレス店舗の現実をお伝えしたいと思います!

HOT SAND LAB mmの基本情報

アクセス:三越前駅徒歩1分
広さ:10.62坪(35.11㎡)
賃料:220,000円
席数:11席(カウンター5席・テーブル6席)
特徴:現金使用不可
営業時間:11:00 - 17:00

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メニュー

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4種類のホットサンドを用意し、うち2つは1ヶ月の期間限定メニューです。オープン初月の期間限定メニューは、以前同じ場所で営業されていたお寿司屋さん「蛇の市本店」のだし巻き玉子を使った「蛇の市の玉子サンド」と、和歌山の梅農家さん「梅ボーイズ」の梅を使った「梅ボーイズのサバサンド」です。

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それでは、12月のmmのデータを見ていきましょう!

売上に関するデータ

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23日間の営業で売上高は64.4万円、合計638名のお客様にご来店いただきました。

mmが店を構える日本橋エリアはオフィス街ということもあり、ランチ需要が売り上げを支えてくれています。時間帯別の売り上げを見ると一目瞭然です。

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平日は13時になった途端、人通りが全くなくなります。この売上高を客単価と来店者数で分解してみましょう。

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来客者数が13時を過ぎると大きく減るのは予想通りですが、実は客単価も少し下がってきます。
11時台にきてくれるお客様は早めのご飯を店内で食べて行かれますが、昼過ぎになるとホットサンドだけをテイクアウトされるお客様が増えます。

ちなみに、4種類のホットサンドの中で最も売れたのはなんでしょうか。

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一番人気は梅ボーイズのサバサンドでした!

玉子サンドとサバサンドが期間限定商品なのですが、玉子サンドは製造のキャパシティの制限から1日10食限定での提供だったので、販売個数ではサバサンドには惜敗!

続いては費用に関するデータです。

費用に関するデータ

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※原価・光熱費は一部集計が完了しておらず推定値です。

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費用項目を対売上比で見ると、人件費が6割を占めています。飲食業では原価3割、人件費3割、家賃など3割で残りの1割が利益になるのが一般的だと言われることから考えてもとても多いです。

これはオープンに伴うオペレーションの確認のための社内研修や、不測の事態に備えて常に複数名が店内にいるようなシフトを組成したからであり、売上高に対する人件費の割合は今後下がっていく見込みです。

つづいて利益です。

利益に関するデータ

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売上高から全ての費用を差し引いた営業利益は29万円の赤字となりました。

12月と同様の原価率・販管費率が維持されると仮定したときに黒字転換するためには、今よりも40万円ほど多い売り上げが必要になります。つまり、昼間だけで約110万円以上の売上高をあげるのが最低ラインです。

カフェの中では比較的小規模で必要な従業員数も少ないため、一般的な飲食店の損益分岐点と比べても少ない金額ではないでしょうか。ちなみに、この販管費の中には店長(正社員)の賃金は含めていません。

支払い手段に関するデータ

mmではクレジットカード・QuicPay・iD・交通系ICでの決済に対応しているのですが、その内訳はどうなっているのでしょうか。

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交通系ICとクレジットカードが最もよく使われているのですが、決済額ベースでのシェアと決済件数ベースでのシェアを比較すると6ポイント前後のギャップがあるのが面白いところです。

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平均決済金額を比較すると、違いがはっきりと見えます。クレジットカードで決済されるお客様は、交通系ICカードで決済されるお客様に比べて、300円ほど高額な購入をされるようです。

果たして、決済金額に応じてICカード・クレジットカードを使い分けているのか、それとも普段から交通系ICカードを利用する人は節約志向が強いのか。気になるところです。

ちなみにブランドの内訳は以下の通りです。AMEXが思ったより多い気がします。

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まとめ

ちょうどこのnoteを公開する日(1/7)の24時に緊急事態宣言が公布されるようです。コロナウイルスが広がり人々の生活が変化してからもうすぐ1年が立とうとしており、飲食店も新しい形を見つけ出さなければいけません。

mmはオープン当初より、感染リスクが高いと思われる現金決済を取り扱わないという思い切った取り組みを行いました。開店当初は現金が使えずに商品を購入できないお客様も見受けられ、我々の取り組みのためにユーザビリティを犠牲にしてしまったかと思う場面もありました。

しかしオープンから1ヶ月経つと、現金が使えないお店としての認知も広まってわざわざ交通系ICカードにチャージをして来店してくれるお客様も出てくるようになりました。mmの選択は間違っていなかったのだと、少し安心した場面でもあります。

また、1月中に新たな取り組みを開始します。

・事前予約・レトルト食品などのオンライン注文が可能になるWEBサービスとiOS アプリを1月25日に公開(予定)
・UBER Eatsでのデリバリー販売を1月中に開始(予定)

mmが当初からコンセプトとして掲げているオンラインとオフラインの統合。店頭に足を運ばなくてもmmを楽しむことができることを目指し、現在WEBサイト・アプリを開発中です。

大変なタイミングで飲食店を始めてしまいましたが、着実にできることをやっていきます!

これからも継続的に情報発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

株式会社NOD 沼田裕輝



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