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地方自治体改正法案! 地方と国政の関係は有事の際にどうなる? 立憲共産が反対するがいかに?


地方自治体改正法案が委員会通過

改正案の概要

2024年5月28日、衆議院総務委員会において、
感染症や大規模な災害など重大な事態が発生した際に、
国が自治体に対して必要な指示を行えるようにする地方自治法の改正案が、
自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されました。

衆議院総務委員会
【賛成】
自民(与党)
公明(与党)
維新の会
国民民主
【反対・棄権】

立憲
共産

この改正案は、国が個別の法律に規定がない場合でも、
自治体に対して必要な指示を行う特例を盛り込んでいます。

日本ではアメリカと違い、
「国と地方の役割分担」 が曖昧に定義されています。

この曖昧さが日本にとってはメリットなのです。

簡単に言えば国の仕事は国でしかできず、
自治体の仕事は基本は自治体が行い、
一部は国の指示のもとで自治体が仕事をします

詳細はこちらの総務省の資料で書かれていますので、
よければ見ていただけると嬉しいです。

_____________________

地方自治体の業務は
地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものです。

・国は、国が本来果たすべき役割を重点的に担う
①国際社会における国家としての存立にかかわる事務
②全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務
③全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施

・住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねる
都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として
①広域にわたるもの
②市町村に関する連絡 調整に関するもの
③その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当ではないと
認められる事務を処理することとされている

_____________________

このような形で分かれています。

自治体の公民館や福祉サービスは
自治体の仕事です。

一方でワクチン接種は国の仕事です。

だからこそ現状は国と地方の棲み分けが
日本では行われていると言えます。

改正案の背景と目的

この改正案は、新型コロナウイルスの対応において、
国と地方自治体の間で調整が混乱した教訓を踏まえて提出されました。

国と地方自治体の間での迅速な対応を可能にするために、
緊急時の際の国の指示権拡大が柱となっています。

NHKの閣議決定の報道を出典させていただきます。

「改正案は、国と地方の関係の一般ルールを尊重した上で国民の生命などを保護するために、的確・迅速な対応を必要な限度で可能とするものと考えている。趣旨や内容について丁寧に説明していきたい」

出典;NHK 2024/3/1 政府 地方自治法改正案を決定 重大事態発生時の特例設ける

岸田内閣の松本総務大臣は、
「国民の生命などの保護を的確・迅速に行うため、国から地方への働きかけのルールを整備するものだ」と強調しました。

具体的には、大規模な災害や感染症のまん延など、
国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、
個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる
特例を設けるとしています。

この規定をめぐっては、自治体側から国との対等な関係が
損なわれるのではといった懸念が示されていました。

改正案には、国が指示を行う際には自治体に意見の提出を求める
よう努めなければならないことも盛り込まれています。

改正案に対する賛成と反対の意見

賛成派は、感染症のまん延や大規模災害時に迅速な対応が必要であり、
国の指示権拡大はそのための重要な手段であると主張しています。

国が迅速に対応することで、被害を最小限に抑えることができると
強調しています。

一方、立憲民主党や共産党は、指示の要件が曖昧で自治体への不当な介入を
招きかねないと反対しています。

また、国の指示権の行使が地方分権の流れに逆行するという
懸念も示されています。

これに加えて、自治体側の実情や意見が十分に考慮されないまま国の指示が行われる可能性があるとの懸念もあります。

特に野党系の首長からの反発は大きいでしょう。

【賛成派の意見】
感染症のまん延や大規模災害時に迅速な対応できる
【反対派の意見】
指示の要件が曖昧で自治体への不当な介入のリスク

修正案と付帯決議

改正案に対しては、自民・公明両党と日本維新の会が
国に対する国会への事後報告を義務づける修正案を提出し、
これが可決されました。

また、国からの指示は自治体の意見や地域の実情を踏まえ、
必要最小限とすることを求める付帯決議も可決されました。

この付帯決議は、国が指示を行う際に自治体の意見を尊重することを
義務づけるものであり、
国の権限が過度に拡大しないようにするための重要な措置です。

しかし自治体のトップからの反発は大きいと言えます。

例えば杉並区の区長や世田谷区の区長は
反対の立場であり、日本弁護士連合会も反対を表明しています。

さらに議会や県知事の一部も反発しています。

だからこそ立憲が今回の法案で、この反対の中で
どう行動するかが問われるでしょう。

今後の展望

改正案は5月30日の衆議院本会議で可決され、
参議院に送られる見通しです。

政府・与党は今国会での成立を目指しています。

しかし、地方自治体や有識者からは、
国の指示権拡大が地方自治の本旨に反するとの批判も強く、
今後の審議に注目が集まります。

一部の地方自治体側からは、国の指示権が濫用されることに対する懸念や、
自治体の自主性が損なわれることへの反発が根強くあります。

この争点が自民党が支援する候補にどのような影響を与えるか?

選挙戦にも影響はあると言えます。

まとめ

地方自治法の改正案は、国と地方自治体の間の迅速な対応
目指している一方で、地方分権の理念とのバランスをどう取るかが
大きな課題となっています。

地方議会の権限を狭め過ぎてもならないし、
国と自治体で対応に差が生まれてはいけません。

今後の審議を通じて、国と地方の対等な関係を維持しつつ、
国民の安全を確保するための適切な制度設計が求められます。

特に、国と地方自治体の間での意見交換や協議を充実させることで、
双方の意見が十分に反映された上での対応が重要です。

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