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創造的能力①「メタ認知」の高め方

「メタ認知」ってなんだろう

今回の記事では「メタ認知」がテーマです。「メタ・・」は、日本語としては「高次元の・・」と訳されます。今回の場合は、「高次元の認知」ですね。。。我ながら、意味わからないですね、、、

よく、自分の思考とか発言を、少し自分の意識から離れてみてみる、「自分を客観視してみる」みたいな言い回しが使われますが、メタ認知も簡単に言うと、似ています。それにプラスして、特に高い位置から客観視しているような、そんな意味です。

つまり、「少し高い視座から客観視する」

より意味を正確にするために、上記に一つ言葉を付け加えるとしたら、客観視しながら、自分自身の思考と発言に指示を意識的に出す、ということでしょうか。

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なお、他の方の書籍や話の中では、「メタ認知」の話と「メタ思考」(=抽象化思考、構造化思考)の話が混ざってしまうことがありますが、私が今回の記事でお伝えしたいのは、「認知」の話です。

創造性を求められる10年間の仕事で、諦めたこと

10年間くらいデザインコンサルタントとして、またイノベーション教育の教員として、毎日・毎時間、何らかの創造的な成果物が求められる仕事をしてます。そこで気付いたと言うか、諦めの境地になっていることがあります。

それは、「待っていても、いいアイデアは、降ってこないし、閃きもしない」ということです。

それと似たような話ですが、よく、「制約を取り払って自由な状態になるといいアイデアが思いつく」、みたいな話があります。このフレーズからは、ぼけーっとして、いいアイデアが降ってくるのを待つみたいな情景がイメージされます。

でも、私の経験上は、これら二つの話の大部分は真実ではありません。

実際には、いいアイデアは、もうすこし能動的で「自分で獲得しに行く、探索しに行く」という思考の末に「見つかる」という感覚に近いものだということです。

自分の脳味噌に思考の制約というか条件を与えて、その制約下で徹底的に考え続けて、探索し続けて、アイデアを見つけていきます。時折、どうしても見つからなくて、現実逃避的にトイレにいったり、シャワーを浴びたり、散歩をしたりすると、その時に見つかる時もあります。

「大部分は真実ではない」という強い言い方をしてしまいましたが、正しくは、まず思考の負荷を十分に体感していたら、ふと気を緩めた時にアイデアが降ってくることもあるかもね、という程度です。

でもやはり、経験上大半のアイデアは、その前段の適切な制約条件を与えて、能動的な思考の途中に出てきます。待ちの姿勢ではなく、あくまでも能動的に考え続けることが必要となります。

探索的に考え続けるための、メタ認知

しかしながら、あるテーマに対して、意識せずとも脳味噌が自動的に考え続けるというのは、常人には至難の技です。

例えば、好きな人のこととか、心配事とか、心待ちにしている楽しみな旅行とか、そういうことはいつのまにか考え続けているかもしれません。しかしながら、皆さんが創造性を発揮したい、他者から依頼される仕事のこと、家族からお願いされた家事のこと、そういったことについて、自然と探索的に考え続けることは困難です。

ここで、今回取り上げている、メタ認知の出番となります。

メタ認知をつかって、自分の今の思考の進捗状況を把握し、次の思考を促すような指示をだします。いうならば、自分自身の司令塔を、頭の中で自分自身が勤めているような状態でしょうか。

このメタ認知という能力は、個人の創造性を発揮する時に、まず脳味噌を駆動させるところ、そして無駄にエンジンを吹かすだけにならず、適切な方向にちゃんと思考を前進させる効果をもたらします。

また、個人の創造性という利用シーンだけではなく、例えばグループワークを行なっているシーンでも、活躍するのではと思います。

グループで何らかの議論をしている際に、議論が煮詰まってしまい、しーん、、、となることはたまにあります。そのような時に、皆がついつい口を開きたくなるような「問い」を発するというのも、グループワークを活性化するよい手段でしょう。また、その「問い」が、現状の行き詰まりを生んでいる原因に気づかせるような、少し高い視座から発せられるようになると、さらに有効ですね。

メタ認知の発動した、具体的な仕事シーンとは?

このメタ認知を発動出来ている状態として、イメージしやすいのは、心の中で自分で自分に質問している状態でしょうか。人って、誰かに何かの質問をされると、だいたい自然に答えようと考えたくなるものなので、質問によって自分の思考をリードしている状態です。

問い「いま、何を考えなきゃいけないんだっけ?」
回答「明日のプレゼンのつかみの話だ」

問い「じゃあ、今まで聞いたプレゼンで、上手だなと思ったつかみの話は?」
回答「司会の人を持ち上げといて落とす、みたいなイジり」

みたいな、独り言ならぬ、独り会話をしている状態です。

ただし、こうした質問と回答を禅問答のように続けていると、思考が逆に迷子になってしまいがちということもあります。グルグルと思考が同じところを堂々巡りしてみるような。

そうした時には、やはり、正にど真ん中のメタ認知というか、大局観のある立場から自分の思考の現在地と目的地を捉え直すような質問をしてみる必要があります。

問い「そもそも、明日のプレゼンの聴衆とゴールは何だっけ?」
回答「100名規模の購買担当者向けのシンポジウムで、講演後に名刺交換をたくさん出来るようにしたい」

創造的業務にメタ認知を活用するときの、3つの基礎思考

「メタ認知」の能力を創造的業務に活用するシーンを少し一般化して考えてみます。

基礎的な思考となるのは、「①本当の自分より高い視座にたつ」と「②現状への認識を行う」、「③思考を前進させる」の3ステップです。

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まずは、メタ認知を用いて「①本当の自分より高い視座にたつ」ことで、その業務の目的や制約条件、現在の思考状態、成果物品質について、大局的な視野で見ることができます。ここで言う高い視座とは、例えば尊敬する人、仕事の先輩、昔の偉人のような人たちに仮想的になってみるというとわかりやすいでしょうか。この高い視座を適切に持ち続けることで、後述する思考②と思考③の品質もぐっと上がります。

次に、自分がどこまで考えることが出来ていて、どういったことにつまづいているのか、また次にどういった方向性で考えたいと思っているのか、「②現状への認識を行う」ことが大切です。ここで現状の立ち位置を十分に理解しておかないと、思考がグルグル同じところを回ったり、本来考える必要のない事柄に脳味噌のCPUが浪費されます。

最後に、行きたい思考の方向性に対して、「③思考を前進させる」ような問いを設定することになります。その問いは、語尾が「?」となっているような、言語化された文章の場合がほとんどかと思います。ただし、中級者以上だったりデザイン系人材になると、それはビジュアルだったり、雰囲気だったり、より感覚的なものにある場合もあるようです。

メタ認知を実践するための習慣づくり

では、具体的にはどのような思考習慣を持つと、いざという時にメタ認知を発動し、創造的な成果物を安定的に生産できるようになるのでしょうか。

まずは、自分の思考が止まった時に、次の思考の一歩を出させるための定番質問を決めてみてはいかがでしょうか?

例えばトヨタでは、何らかの問題が発生した際に「『なぜ?』を五回繰り返せ!」という業務習慣があるようです。また、リクルートでは、上司や先輩からの「お前はどうしたいんだ?」という質問が有名です。

こうした自分の思考を加速させる、定番質問をつくるというのは、わりとすぐ出来そうに思います。例えば、子供の頃に親からよくされていた質問、尊敬する先輩・上司からされる質問、また自分の仕事・家事でブレークスルーを起こしてくれた過去の質問、過去の偉人の問いかけなど、思い出してみてください。

その定番質問を目のつくところに書き出してみて、ことあるごとにチラ見して、思考を進めるという習慣づけはいかがでしょうか。

その繰り返しの中で、質問提示と回答のテンポが上がり、目の前の状況に応じて、高い視座からの臨機応変な質問提示も出来るようになっていくのではないでしょうか。

ちなみに、今回のメタ認知に含まれていた、特に「思考を前進させる」際に用いる「問いを立てる」というのも、意識してまた向上すべき能力なのかもしれません。
その点について、今後私の方でも考えを深めておきたいと思います。


次回予告:次の記事で紹介したい能力は、「傾聴」となります。お楽しみに!


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