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ドラえもんと暮らす未来は実現するか

こんにちは。近年耳にする機会が増えたAIという言葉ですが、今後私たちの生活に欠かせない重要なパートナーになっていくことをご存知ですか?日本のアニメ、ドラえもんも言ってしまえばAIになります。この記事を読んで、皆さんが少しでもAIとの共存を自分事と捉えてもらえたら幸いです。

AIの歴史


AIとは”Artificial Intelligence”の略で、人工知能のことです。AIの定義はまだ定まっておらず、様々な専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。おおよそ一般的には「人工的に作られた人間のような知能全般」を指します。

AIの歴史は古く、1960年代後半に 第一次人工知能ブーム、1980~90年代には第二次人工知能ブームが起きています。

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 松尾豊『人工知能は人間を超えるのか ディープラーニングの先にあるもの』(角川文庫)より引用


そして、2010年からAIを用いたビッグデータの蓄積やディープラーニング(深層学習)によるビジネスへの活用が始まり、 第三次人工知能ブームへ突入しました。近年特に性能が飛躍的に向上し、Googleの子会社であるDeepMindの開発したコンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo」が、プロ囲碁棋士の世界チャンピオンを破ったと話題となりました。

国内の市場規模を見ると、IDC JapanのAIシステムの市場予測によれば2016年以降は年間平均73.6%のペースでAI市場が成長し、2021年の市場規模は2501億900万円に達すると見込んでいます。

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IDC Japan『国内コグニティブ/AI(人工知能)システム市場』2017 よりデータアーティスト株式会社作成

更には、Accentureが2016年に行った調査によると、日本はAI活用により最もGDP改善効果が期待できる国であり、2035年時点で経済成長率が3倍以上になる可能性があるとの結果が発表されています。

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Mark Purdy/Paul Daugherty「Why Artificial Intelligence Is The Future Of Growth」(Accenture)、p.16  よりデータアーティスト株式会社作成

2045年、ついに逆転。


皆さんは「シンギュラリティ技術的特異点)」という言葉を耳にしたことはありますか?

これは人間を超える知能をもつAIが発明される時点のことを指します。

詳しく言うと、全人類の知能を足し合わせた知能をも超えるAIが誕生し、そのAIがさらに賢いAIを作り出し、そのAIがまた、、というように、AIの成長が止まらなくなる時点がやってくると予測されています。

AIの世界的権威であるレイ・カーツワイル博士は「 少なくとも2045年までには人間と人工知能の能力が逆転するシンギュラリティ(技術的特異点)に到達する 」と提唱しており、これは「 2045年問題 」と呼ばれています。たった25年後とはにわかには信じがたいですが、それほど技術の進歩が著しいということです。

参考論文:『2045年問題 : コンピュータが人類を超える日(<特集>汎用人工知能(AGI)への招待)』
The Year 2045, When Computers Surpass Humankind(<Special Issue>Introduction to the Artificial General Intelligence)

このような革新的なイノベーションが起きると、ドラえもんのような感情を持ったAIも夢ではないかもしれません。産業革命の時代には「機械に仕事を奪われる」ということが現実に起こりましたが、結果として人間は機械を使って仕事をするように進化しました。それと同じで、ドラえもんと生活し仕事をする時代が来るかもしれないのです。

しかしこれは捉え方によっては危機にもなり得ます。感情を持ったすべてのAIがドラえもんのように善良で、人間のために尽くしてくれるとは限らないからです。

これまでは人間が生物の中で唯一考えて行動を起こせるため、地球上で主導権をもって生活してきました。しかし今後、人間と同じように考えて行動を起こす、人間の脳を超えるAIとの共存が始まるのです。AIとともに社会を作っていかなくてはならないということは、人類史上初めての「第三者が介入する全く予想できない社会」となります。


AIと人間の違い


これほどに注目されているAIですが、具体的にどのような点において優れているのでしょうか。ここでは現段階のAIの性能についてお話します。

まず、AIと人間で大量のデータを処理するスピードを比較した場合、人間はスピードや正確さで勝負にはならないでしょう。この分野については、圧倒的にAIの勝利です。さらに、AIは大量のデータを分析し、ある一定の法則や傾向を導き出すことも得意とします。事実やルールのみを客観的に判断し、淡々と作業をこなしていくことにも優れています。

逆に、人間がAIよりも秀でている点をあげてみましょう。
人間は0から1を生み出すことが出来ます。これまで誰も思いつかなかったような革新的なアイデアを「創造的な作業」として価値のあるものと定義するのであれば、AIの「まったく新しいものを生み出す力」は決して高くないといえるでしょう。
このように、人間の秀でている点は、新たなものを作り出したり、問題を解決したりする能力だということが分かります。

加えて、人間には感情があります。人の心に寄り添ったり、ケースに応じてパーソナルに対応する必要がある場合、人間の力が必要とされます。(2045年以降、感情を持ったAIが生まれた場合はこれに限った話ではありません)

一方で共通点も存在します。人間の学習方法に大きく影響を及ぼすのは経験であり、人間は経験を重ねる中で学び理解します。AIはまるで人間のように、自分が行った作業や経験の中から学習することができるため、より多くの情報を経験させることで飛躍的に精度を高めることができるのです。これは人間が経験をつめばつむほど、知識や精度が高まる状態に似ています。

共存する。

AIと握手

今後AIが普及するにつれて、今まで人が行っていた仕事はロボットに置き換わる可能性があると言った声も挙がっています。確かに輸送業や製造業などの分野の一部はAIに取って代わられてしまうと予測されています。

しかしながら、近年AIエンジニアやAIプロデューサー、AIプランナー、データサイエンティストなど、人工知能の登場によって新たに脚光を浴びている職業も登場しています。AIによって代替される職業がある一方、AIによって生み出される職業もあるのです。PwCの予測によれば、特定の分野ではAIのおかげで新たな雇用が生まれ、結果的に仕事が増えると予測されています。

またAIについて私たちはさらに理解を深める必要があります。どのように人間の長所とAIの長所を補完し合えばよいか、模索が必要でしょう。AIと共存するためには、私たち人間も変わらなければなりません。

具体的には、学校での教育はコンピューターが得意とする機械的暗記に比重を置いたカリキュラムから、創造力や考察力を伸ばすためのコースへと移行するのが良いのではないでしょうか。AIではなく、人間だからこそできる価値提供の質を上げることに時間を費やすべきです。

AIはただ人間をラクにするためのツールではなく、AIができないことをできるように人間の成長を強いるものだと理解しなくてはならないのだと思います。

共存か、対立か。


AIの利用方法は、良くも悪くもAIの利用者である私たち人間の一存によって決まります。中でも懸念されるのが軍事利用で、テスラの設立者であるイーロン・マスク氏
「AIの安全性に関心を持つべきだ。北朝鮮よりはるかにリスクが高い」と警鐘を鳴らしています。事実アメリカのトランプ政権は、国家防衛戦略などでAIに対する幅広い投資を掲げています。今後、AIの技術力をめぐって国家間の戦争になる可能性すらあるのです。

最後になりますが、日本にはドラえもんや鉄腕アトムといった、AIと幸せに共存する姿が描かれたアニメが存在します。これらの作品が描かれたときにはるか遠い未来だった話が、今や現実になろうとしています。

ドラえもん

映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』より画像引用


今後、彼らのように感情を持つAIが現れたとしましょう。

たとえ私たちが創り出した存在であるとはいえ、全てをコントロールしようとせず、お互いを尊重し協力し合うことがで大切なのではないでしょうか。感情のコントロールでは人間でも難しく、失敗を繰り返しながら学んでいくものです。AIは「感情を持たない」点からスタートしているので、ある意味AIにとっては感情を持つことで不測の事態に陥る可能性があります。

そこで、信頼関係の築き方や思いやり、つまり人間と共存するために必要な知識を教える必要があります。こういったノウハウ化されていないものを彼らにインプットするのは恐らく至難の技です。ここに関しては、私もどのようにすれば良いか検討がつきませんが、避けては通れない道でしょう。

そしてそれを彼らに教えるのは、まぎれもなく私たちなのです。AIと暮らす未来、幸せなものになるか、それとも崩壊してしまうか…全ては私たちの行動にかかっているのではないでしょうか。

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