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#3 Requiem 4, 解釈する私を

「たとえどんなむごい死に方をしても、自殺でも他殺でも事故でも、死ぬ直前まで私は生きて、満足して死にました。だからどうかつらかっただろうとか、苦しかっただろうとか、私を解釈しないでください。私を解釈することで、あなたの道を苦しいものにしようとするのはやめてください」

生きているときはそんな権利がないことを知っているのに、
死んだ瞬間、人は人から哀しみを奪う権利を得たと錯覚してしまう。

身勝手な私の遺書。

口がないのをいいことに、
聞こえないのをいいことに
苦しむ権利さえも奪ってしまえると思っている。思いあがっている。
死者は最高権力者だよ。
生きている人に命じっぱなしにして、異論も議論も受け付けない。
「死」が悪いこととされている世界であることをいいことに権利を奪うなんて野蛮な暴力だ。
暴力を使う側は、その痛みに気づかない。
殴っている僕も痛いなんて馬鹿じゃないの?
暴力を振るわれる側になって、はじめて私は跪く。

「解釈する私をどうか赦してほしい」

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