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羨望のまなざしを向け続けた丸刈り

今年の高校野球はメディアが食いつくスター選手が少ないからか、なぜかヘアスタイル論争なるものが勃発している。

慶応ボーイがさらさらヘアーだとか、広陵がきれいな丸刈りだとか。
確かにとある高校のピッチャーがインタビューに答えるとき帽子を脱いだ瞬間、前髪が斜めにかっこよくきまっているのをみて
「おお!どこぞやのアイドルみたい!」
とは思ったが、それがなにか問題でも?と思う。

丸刈りにすれば絶対に夢は叶うとか、自分なりの願掛けで丸刈りにするなり、やっぱりどこぞやのアイドルみたいな髪型にするなり、好きにしたらいいと思う。野球が好きで、甲子園を目指すのに髪型は関係ない。

とかいいつつ、私は丸刈りが好きだ。といってもいまだかつて丸刈り経験はないのだが、中学時代、野球部の丸刈りにものすごい羨望のまなざしを向けていた。

野球部に好きな人いるでしょ?とみんなに言われるほど野球部のほうばかり見ていたのだが、ひとりの思い人をみていたわけではない。美しく刈り上げられた丸刈りたちを眺めていたのだ。

そういえば、母親もお気に入りの兄弟ほのぼのエピソードでこんなことをしゃべっていた。

「まあくん(弟)が丸刈りにしたとき、あんた飽きることなくなでなでしてたよね。その姿がかわいくて、かわいくて」

なんとなく記憶がある。
剃りたてのじょりじょり感と、ほんのり青みがかかった頭がかわいくてずっとなでまわしていた。なんだったら頭にチューもしていた。
当時はお風呂にも一緒に入っていたのだが、なにがいいって頭からお湯をぶっかけられるだけで頭洗いが終了するのがうらやましくてしょうがなかった。

わたしはといえば、

「女の子はおさげじゃなくちゃ」

という両親の思い入れもあってかロングヘアで、髪を洗うのも一苦労。
夏は顔に体にまとわりついて気持ち悪いったらありゃしない。
そこからドライヤーをず~っとあてられ、いつになったら終わるのかとぶーたれていた。

その間、丸刈りの弟はタオルでごしごしされたあとすぐさまリリースされ、好きなように動きまわっていた。

「わたしも丸刈りにしたい!」

といったが、「は?何いってるの?」

と鼻で笑われた。本気さが伝わらなかったよう。

いつか丸刈り!と思っていた小学生時代。野球部は全員丸刈りの暗黙ルールがあった。
野球部に入れば丸刈り!と思いきや、女の子だって甲子園のCMが流れている今と違って、女子野球部なんて見たことも聞いたこともない。
仕方なく、野球に似たソフトボール部に入部したが、丸刈りルールはなかった。

丸刈り願望を両親、床屋に伝えるも

「女の子が丸刈りなんてみたことないし、恥ずかしくて外歩けなくなるわよ。とにかく短くしてあげるから」

恥ずかしいかどうかは自分で決めることだと思いつつも、気が小さいところもあったため、ひとまずショートヘアにはしてもらう。が、髪の毛があることには変わりない。

帽子をかぶると跡がついて前髪がべちゃっとなって貧乏くさいし、襟足は汗でこれまたべちゃっとなって清潔感ナッシング。

真夏に手洗い所のところで、野球部員たちが蛇口の下に頭を突っ込んでジャバジャバやっているのをこれまた羨望のまなざしを向ける。

とはいえ、男子だって化粧水でお肌を整えて美肌をキープし、眉毛を整える時代。やっぱり丸刈りはいや~と思う人もいるだろう。

けれど、何の問題もなく丸刈りができるというのはとても素敵なことなのだ。
大人になってからの丸刈りはちょっと怖い人系、もしくはハゲちゃって仕方なく(←自分のお父さん)な場合が多いからかっこいい丸刈りができる期間は短いのだ。

結局、どんなに丸刈りにしたいといっても丸刈りにさせてもらえなかった学生時代。誰にもなんの文句もいわれない立派なおばちゃんになった今ならできなくもないが

「尼になるの?」
「なんか心配ごとあるの?」

とか変な心配をさせてしまいそうでできない。

そんなこんなで、高校野球をみて、ヘルメットや帽子を脱いで、ものすごいキレイに剃っている青い坊主頭をみると羨望のまなざしを向けてしまうのである。

そういえば、昔 ICONIQという歌手?女優さんが丸刈りで出てきたときは、とうとう丸刈り時代到来!聖子ちゃんカットみたいに流行ったら、気軽に丸刈りできるぞ!とニタニタしたが、そんな流行りは待てど暮らせどこなかった。

最近は介護時に下の世話が楽なようにと介護脱毛が流行っているらしいから、介護がいよいよ必要となったら下も上も丸刈りにしようと思っている。

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