那覇~与論~奄美大島の軽石調査報告。今こそ旅人の力が必要だ!
2021年8月に小笠原諸島の海底火山が噴火した。
火山活動によって得られる効果もあれど、やはり負のイメージが強い。
ただ海底火山は周辺に人が住んでいなければ、急に島ができたり引っ込んだりする程度でしょと思いきや、最近頻繁に使われる100年に一度の出来事が起こった。
なんと1200kmも離れた沖縄や鹿児島の離島に軽石が海を漂って大量に押し寄せているのだ。
9月末ころに離島をウロチョロするアイランドホッピングを計画していたわたくしめ。11月上旬の出発日が近づくにつれて、海岸を埋め尽くす軽石の様子が連日ニュースで流れる。
最近のニュースは悲惨なところをクローズアップして報道することが多々見受けられる。ライターたるもの実際に目で見て確かめねば!と何かの使命感に突き動かされ予定通り旅立った。
那覇~与論島のフェリーは通常営業
まずは与論島ってどこ?という人のためにちょこっとご紹介。
鹿児島県の最南端にある与論島は、干潮時にのみ現れる真っ白い砂浜「百合が浜」で一躍人気となった離島。
鹿児島県に属しているものの、沖縄本島からたった23kmの場所にあるため沖縄からアクセスしたほうが安いし、早い。
ということで、前日夜に那覇に入り翌日朝7時、マルエーフェリーにて与論島に出発!
軽石の影響でフェリーが欠航になるんじゃないかと毎日チェックしていたものの特に問題なく出航。
朝日がまぶしい。
ちなみに鹿児島県旅客船協会の公式ツイッターかインスタをフォローして、受付で画面を見せればあまみ船旅サイダーがもらえる。シークワーサーと黒糖の2種類。シークワーサーはビタミン注入してる~という酸味たっぷりの味で南国旅にはぴったりだった。ちなみにフレーバーは選べない。
さて、早速軽石チェック。那覇港周辺は軽石は見受けられず、やっぱりニュースはひどいところだけを切り取っているに違いないと憤慨していると・・・
ありゃ?この朝日に照らされた茶色い浮遊物は軽石では?
飽きずにひたすら風を浴びながら海を眺めていると
帯状に続くよどこまでも
伊江島付近に到達するともはや軽石では?というレベルを超えたうごめく物体状態。小学校の教科書で読んだ「スイミー」を思い出す。
小さな魚が集まって1匹の大きな魚になるという話。
あ、ちょっと違うか・・・
与論島に近づくにつれ、軽石続くよどこまでも~と漂いまくり。
与論島は軽石まみれになっているんじゃないかと一抹の不安を覚えながらまもなく与論島寄港のアナウンス。
大部屋に放置していた荷物(←日本ってやっぱり安全)をかついで再度デッキに出てみると、与論島が目の前に!
軽石はどこへやらと思うほどのヨロンブルーの海と白い砂浜。
フェリーから海だけ撮影してみた写真。
ここはプールですか?
もしかして与論島には軽石が漂着していない?なんて思いながら下船。
迎えにきていたレンタカー会社のお姉さんに聞いてみると
「とんでもない!先週末も軽石撤去を100人くらいでやってましたし
茶花海岸などひどいところは重機が入ってます」
なんと重機まで!!!
早速、与論島の軽石を調査すべくドライビングに出発!
与論島の軽石状況
茶花海岸に行くと、報道のとおり、いやそれ以上の軽石の状況にただただ唖然。
海がはるか彼方。
少し色が濃くなっている部分は実は海。
ジャージャーと聞いたことがない音を立てて、軽石がうごめいている。
寄せては返すザパ~ンザパ~ンという美しい波のBGMがジャージャーとなるとは!
寄せては返す軽石の音が不気味で、夜中にきたら何か魔物が出て来そうなそんなおどろおどろしい音。
寄せられた軽石たちは砂浜の上で波うち、ものすごく堆積している。
だいぶ掘らないと白砂にたどりつかないほど。
なんてこった・・・
他のビーチも軽石まみれになっちゃってるんじゃないか?とすぐ近くのウドノスビーチへ。
サンゴの群生地があり、島民にも人気のビーチはというと・・・
良かった・・・
打ち寄せては返す波の音がちゃんと聞こえる。
ただ、量は多くないものの軽石も寄せては返す・・・
遠くから見るとゴミのように見えるが、実際は軽石が浮いているだけなので
体にまとわりつくわけもなく、気持ち悪くはない。
しかし、ヨロンブルーを完全に犯している。
虫取りネットみたいなのでなんとかすくえないもんかな~なんて非現実的なことを考えた。
拾っても軽石はどんどん押し寄せてくるから意味ないかもしれないが、少しでもお役に立ちたい・・・軽石撤去ボランティアとかやってないものだろうか。
ツイッターで検索したりしてみたものの、すぐ近くにいらっしゃった。
SUPアクティビティーでお世話になったインストラクターの池田さんが個人的に軽石を拾っているとのこと。
「観光客の方が積極的に軽石撤去に動いてくれるなんて嬉しいです」
とうれしいお言葉を聞き、がぜんやる気スイッチも入ったところで、朝から軽石撤去ボランティアに参加してみた。
軽石回収袋に軽石を入れよう
場所はミナタ海岸。
小さい島がすぐ沖合にあり、干潮時には歩いて渡れるほど遠浅の美しい海岸。
干潮時に撮影したときは、御覧の美しさ。
シュノーケルでニモ(カクレクマノミ)&ウミガメに会えちゃう場所。
砂浜に軽石が打ち上げられていたものの、切り取り方によっては観光にまったく問題なしといった雰囲気。
が、満潮時にいくと・・・
軽石めが押し寄せてきていた。
美しい海が!!!
海岸に打ち上げられた軽石は、とてつもない量!
正直、とってもとっても減らないし、白い砂浜が現れる気配がない。
池田さんは日頃から美しい海を守るためのゴミ拾い活動をしていて、そのゴミ拾い用の袋を使って個人的に軽石撤去をしているのだとか。
素晴らしすぎる。
こういう日々の努力によって美しい海が守られていくんだな~とこんな時しかお手伝いできない私は一心不乱に軽石を集めた。
1時間弱、大人5人で必死にかき集めた結果がこちら。
で、この軽石たちはどうするかというと・・・
環境課が用意したこちらのブラック袋がビーチ沿いに置いてあるのでこの袋に投入。満杯になったころ環境課が回収する。
与論島のビーチにはこの袋が置いてあることが多いので、皆さんも軽石を見つけたらというかいたるところにあるので少しでも回収してブラック袋に投入しよう。小さな一歩が大きな力になるのだ。
ということで、与論島にいくときはビニール袋必須。
なのだが、スーパーで無料で使えるビニール袋は軽石を少し入れるだけですぐに穴があいてしまうので2重使いがおススメ。せっかく拾ったのに袋にぶっこみすぎて、全部ぶちまけたゆきんこ。
軽石ってほんとに軽いの?
そんな疑問を持つのは私くらい?(笑)
当たり前だが、持ってみるとすこぶる軽い。
だから軽石なのか・・・(←実際に体感しないと信じない人)
大きなものから小粒までさまざま。
割ってみるとこれまたびっくり。発泡スチロールを砕いたときのような、ウェハウスを割ったときのようなさっくり食感。
軽石の特徴の穴もぼっこぼっこ。
さんざん、軽石が漂っているのをみたのに、ちゃんと浮いているか実験。陰になっているのがわかるだろうか。つんつんしても全く沈まない。ちなみに自宅で塩抜きをするために1週間ほど水につけているが沈む気配を見せない。(←何に使うかは気にしないでください)
元の白い砂浜にだどりつくまでだいぶ掘らないといけないほど堆積。
軽石ボランティアをやっているときに、
「大きなスコップや重機で一気に取っ払ってしまっては?」
と聞いたら、白い砂やサンゴなども持ってかれてしまうとのこと。
おっしゃる通り。安易なことを聞いてすみません。
また、軽石を半分にぱっくり割ったときにグレーの灰っぽいのが散らばって感じたのは、グレーの粉が白い砂浜に混じってしまい、砂浜の色が変わってしまうんじゃないかということ。
そうならないためにも軽石が粉々になる前に撤去し続けていかなければならないのだ。
ミイラ化した熱帯魚発見。も、もしや軽石に行く手と太陽を阻まれてミイラになっちゃったのか?
軽石の上に寝かせておくのはかわいそうだったので、白い砂浜に埋葬してきた。
タイミング次第!11月の百合が浜
与論島といえば百合が浜。
おおお!ちょっぴり見えてるぞ!
しかも軽石ナッシングと思いきや・・・
残念ながら軽石大量に漂着。
切り取り方や時間帯(干潮時)によっては、軽石は気にならないどころか、ヨロンブルーと白い砂浜を堪能。
ちなみに百合が浜はいつでも見られるわけではなく大潮の干潮時にみられる現象である。
百合が浜のページに出現予測スケジュールが公開されるので
百合が浜目当てであればこのスケジュールを参考に。
このスケジュールをみると出現は3月~10月のみ。
11月は出ないじゃん!と普通は思うもの。
まあ、確かに11月は出現の可能性は低いため、期待を持たせないために公式サイトに掲載していないのだが実は大潮のときを狙えば見られるかも?というもはや奇跡を待つのみで出かけたら見れちゃったという。
天国に一番近い島という映画でニューカレドニアが有名になったが、与論島の百合が浜も天国に一番近い島といっても過言ではないほど美しい。
日がさすと天に召されちゃうんじゃないかと思ったくらい。
地元のおじさんの日焼けっぷりも半端なく、ミクロネシアの原住民なみ。
原住民並みといえば、浜でボートのおじさんとお土産屋のおばちゃんが、ミャーミャー会話していのだが、これまた何を話しているのかさっぱりわからない。
解読不明な言葉でミャーミャーまくしたてている。
冗談ぬきでミャーミャーとしか聞き取れない。
もはや英語や韓国語のほうが聞きとれるほど、未知の言葉で会話している。
与論島、いろんな意味で海外旅行気分を味わえる。
ミャーミャーおじさんから聞いた補足情報をちょろっと。
百合が浜は、浜から1.5k沖合にあるため、超大潮のときはボート代削減のため歩いて渡る人もいるようだが、往路は遊びまくって、時間が経過し、潮が満ちて歩けなくなり、ボートに乗せてくれ~という人が多数現れるのだそうだ。
片道でも往復と同じ値段になるので、ここは3000円払ってボートに乗ろう。
与論~奄美大島間、空の上からの軽石状況
与論~奄美大島は空路にて移動。
天気がさほどよくなく、空旅楽しめないかなと思いきや
さすがサンゴの島!
天気がよければヨロンブルーに囲まれた天国の楽園のような島の全景が見られたんだろうな~とその絶景は次の機会のお楽しみということで。
早速、空の上から軽石チェック。
やはり漂っている。
肉眼で見られるくらいだからかなりの量。
徳之島の近くを通過。
この辺りはあまり軽石は見られない。
加計呂麻島が見えてきたから奄美空港はもうすぐ。約40分で奄美空港到着。
空港周辺もあまり軽石見られず。
もしかして奄美大島はさほどでもないのか?
本日のお宿は空港から2時間かけて車でドライビング。与論島の1周があっという間だったから非常に遠く感じる。
宿の近くのおどろおどろしい雰囲気のホノホシ海岸に到着。
ああああ~~~
軽石漂着済み。
ざっぱ~ん、ガラガラガラガラとあの世に引っ張られそうな激しい音を繰り広げながらアメーバのようにうごめく軽石が気持ち悪いのなんの。
笠利崎岬から下を眺めるとやはりきゃつが現れる。
空港から近い絶景カフェの前の海にもちらほら。
与論島ほどではないが、奄美大島のいたるところにあるビーチにもきゃつらが出没。
青い海が健在なのはほっとしたところだが、思った以上に軽石が押し寄せている。
おしゃれカフェやインスタ映えスポットなんかがどんどんできて観光がもりあがってきてる感満載の奄美大島。
2021年7月に世界自然遺産に登録され、世界に誇る宝となった奄美大島。
今回は天気があまりよろしくなくてマングローブカヤックができなかったのでまた再訪を約束して飛び立った。
軽石は汚くない!青い海は健在だから旅しよう!
現状、軽石被害で大幅なキャンセルは出ていないようだが、軽石のニュースをみて、もともと予定していた旅行をやめるという人が出てくるかもしれないと地元の人は不安げ。
離島の収入源は観光がメイン。
時間帯や場所を選べばマリンアクティビティーも楽しめるし、何より美しい青い海は健在!
観光シーズンではない今は、人が少なく存分に離島が楽しめる時期。
ビキニは無理だけど、長袖長ズボンの水着を着れば11月でも海に入れるのも魅力。
どっか行きたいな~どこにしようかなと迷っている人は離島旅行に行こう!
そして、ビーチに行ったら少しでも軽石撤去にご協力を!みんなで日本の美しい海と砂浜を守ろうではありませんか!
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