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当たり前のお土産

プレ帰省が始まっているのか、空港のお土産ショップが混んでいる。さまざまなブランドのお菓子が売っているショップはレジも多く、さほど並ばなくても購入できるのだが、問題は人気店。

551の豚まんは通常もかなりの行列だが、年末はさらに倍の人たちがスマホを見ながら時間つぶしをして列に並んでいる。

そして大阪のもう一つの人気土産といえば、焼きたてチーズケーキ「りくろーおじさん」だ。買うつもりはなかったのだが、焼きたてのおいしい匂いが鼻腔をくすぐった瞬間、列に並んでしまった。

あの匂いに勝てる者などいない。551よりは並んでいなかったものの結局、購入するまでに20分を要した。

すでに実家用にお土産を購入したあとではあるが、自分も食べたいし、せっかく並んで1個というのはどうもかっこがつかん!とよくわからないプライドが邪魔して2個購入。
近所のおじさん夫婦にもあげることにした。

焼きたてなので、その日のうちに渡さねばと実家に帰る前に渡しにいく。するとおばさんが

「あら、ゆきんこちゃん、おかえりなさい。まあ、チーズケーキ。うれしいわ。ありがとう。食べるの楽しみ」

とめちゃくちゃ喜んでくれた。この笑顔を見れただけで買ってきたかいがあったというもの。

そして、実家へ。

「おかえりなさい。寒かったでしょ。ご飯できてるわよ」

ここまではいい。実家のありがたみを感じる。すぐさまわたしが持っている紙袋を受け取り

「今回はなんなの?」と物色。

「焼きたてチーズケーキ。ふわっふわで口の中でぷしゅ~っととけてなくなっちゃうくらいのふわっふわさで人気なの」

すると、若干、がっかりしたような顔で

「え~お母さん、固いチーズケーキのほうが好きだな」

しかも、もう一つのお土産がフィナンシェとわかると

「洋菓子ばっかりだと太っちゃうじゃない。お母さん和菓子好きなのに。ゆべしとかわらび餅とか」

ここまでで「ありがとう」がない。

そもそも、毎回きっちりお土産を買ってきてくれる娘がいてありがたいとは思わないのか。わたしもわたしで毎回、律儀にお土産を買ってきた結果、お土産が当たり前になり、なんだったらお土産の内容を要求させてしまうほど、母親を甘やかしてしまった。

「だったら、食べるなよ!」

と言いたいが、帰ってきて早々、口喧嘩もいやだな~と

「じゃ、また今度のリクエストとして聞いておきますわ」

と子どもだったはずなのに、親に大人の対応をするようになる。

ちなみに、固いチーズケーキが好きなのといったわりには一番おいしそうに食べていたのが母親。

「まあ、おいしいわね」

だって。買ってきてくれてありがとうなんていつ以来か聞いたことがない。

子どもも親も甘やかして育てるとよくないな~と、甘やかしすぎてのびのびしちゃって自分が言ったことも、すぐに忘れている親をみて思う帰省1日目。

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