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祇園祭の後祭は西が美しい

日本三大●●といわれると見たくなるし、食べたくなる。
夏と言えばお祭り、日本三大祭りの中でも人気なのが京都の祇園祭だ。

今からさかのぼること約20年前、念願叶い、祇園祭のしかも最大のハイライトとも言われている宵山と山鉾巡行を見にいくことになった。

しかも、彼氏と!となると装いは浴衣しかない。一所懸命着方を覚え、アップスタイルも練習し、刺す意味がよくわからないが、なんとなく女っぷりがあがるように見える玉かんざしまで用意し、ばっちり決めて京都入り。

楽しみすぎて、寝不足になるほど興奮しながらたどりついた京都は、暑いを通り過ぎてもはや気持ち悪い。熱気が体にからみつき扇子で仰いでも熱風がくるだけで何の意味なし。

せっかくきた浴衣はすでに汗でぐちゃぐちゃになり、湿気で髪の毛がくずれるとともに玉かんざしがずれていき、いつのまにやら行方不明。正直、宵山をみた記憶よりも、人込みにまみれてビールをあびるように飲んでいた記憶しかない。
あまりの暑さで疲れ、倒れこむようにホテルへ。翌日の山鉾巡行は、場所取りが大事とリサーチしていたので、早めに行こうという計画だったものの、前日で体力を使い切り、出発が遅れ、辻回しはおろか、山鉾の上部部分しか見られないいまいちな場所で、熱さと闘いつつ、義務のように見た。

祇園祭=暑いという記憶しかなく、もう二度といくまい、NHKのライブをみて楽しもうと決めていたが、6年ほど前にたまたま後祭中に京都に行く用事ができた。

後祭の宵山は11基の山鉾が夕方からライトアップ。まあまあ人はいるものの、前祭に比べたら歩きやすく、何よりまじかで見られるのがうれしい。
コンチキチン~♪の祇園囃子が聞こえてくると、ああ、京都の夏はこれだなと思った。祇園祭の最悪なイメージをかなり払拭してくれた後祭。

とはいえ、わざわざ毎年見に行くほどのファンになったわけでもなく、そのうちコロナ禍になり、やっと通常の祇園祭に戻った今年。インバウンドも回復しているし、さぞかし混雑しているだろうなと思いつつも、またしもいいタイミングで用事ができたので、ついでにいくことに。まだ宵の口だったせいか、普通に歩ける。人口密度は低い。

しかも、ちょうど提灯に明かりがともり始めるころにいったため、夕日をバックにした山鉾がより美しさをます。

後祭は夕暮れ時の西側を歩くといい。とはいえ、蒸し暑さは健在。
冷房がきいたホテルで涼むと生きた心地がするし、もう外に出たくなる。

7月に京都に行くなら外せないのが「鱧」なのだが、昼に年甲斐もなくアフタヌーンティーで濃厚ケーキを食べてしまったがためにおなかがすかない。
甘いものでおなかを満たしていいのは30代までと実感。

ちなみに祇園祭は別名「鱧祭り」とも呼ばれている。
海が遠い京都では生の魚を運ぶことが難しく、塩鯖や焼き鯖として運んでいたのは知られた話。だが、鱧は生命力が強く生きたまま運べたため京都で愛されることとなった。
鱧は梅雨を吸った7月が特においしいといわれていることから、7月に京都で欠かせないもの=祇園祭=鱧とのことから呼ばれているのだとか。

祇園祭の後祭のうれしい発見があったものの、鱧が食べられなかったのが心残り。
と思っている時点で、花より団子ならぬ、祭より鱧になってしまっている自分の食いしん坊ぶりにあきれるばかり。

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