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小選歌集

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自作短歌自選集。 一部は「塔」紙面にて既出
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2017年3月の記事一覧

小選歌集「世界は眠る」

小選歌集「世界は眠る」

そのむかしむかしあるところでこの星を終わりにしますさりげなく

自閉症の子の描いた絵をいつまで抱えるような海

からだ丸めて乞う愛が‘の’のゆるやかなカーブをすべりおちてく

青春に被爆している僕たちは「永遠」の名の飾りになった

あなたを見ているわたしを見ているあなたを見ている星が鳴いてた

かみさまはいるおれたちのだいすきなどうぶつのはなしをしてくれる

裸眼でも見えるあなたの確かさが私の肉を

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小選歌集「空港の朝」

小選歌集「空港の朝」

十年で二度しか会わぬ友人の安否を知れる空港の朝

コンビニで購入せし本にアメリカンドッグの写真挟まる

亡くなりし会うことのない人々の名前が座る喫茶ガボール

漏刻よ月に刺されてそれからか暗き森を飼っているのは

人々を愛せなかった罰として氷を落とせ冬のカルピス

原発の文字が傾く新聞に包まれていたキャベツよ夏よ

ガスストーブの薄い火そのままにわたしはわたしの中にて眠る

今日の日に今日が終

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小選歌集「夏」

小選歌集「夏」

夏、邪魔ものを消せる魔法ならまずは自分につかいますから

麦畑 金色が水を運ぶ命は正しき模様を描く

不確かな愛撫など忘れてもよい 今日間違えのない半夏生

金星が死んだ 一人の部屋にて無口の奥歯は奇跡を齧る

眠るように音色は溶けぬ未だ言葉は無音か美しい人

この世の角部屋に住まいて海は魚眼の青と信じ続ける

いつまでもきみといたいといいながら脱走してたアメニモマケズ

憂鬱な夜明けに目覚め俺た

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