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求人Hubのこれまでとこれから

こんにちは、Carat中井です。
今回はCaratが運営する求人広告ネットワークサービス「求人Hub」について、詳しく解説できればと思っています。
(ちなみに主な利用技術はRuby on Rails, AWS, Terraformです。Rubyエンジニアの方、お話ししたいです。)


「求人Hub」とは

「求人Hub」は求人広告専門のアドネットワークです。
複数の媒体と取りまとめ、独自に構築した配信ネットワークにまとめて配信することで、求人広告に対する求職者応募の集客を支援するプロダクトです。

https://caratinc.jp/Recruit

求人Hub事業自体は、「GLIT Ads」という名称で2020年8月から存在し、3年ほど運営してきていました。基本的には私一人と、たまに他事業のエンジニアまたはCTOが保守対応するぐらいのものでしたが、2022年末から本格事業化し、採用・営業等を進めながら2023年8月に「求人Hub」にサービス名称を変更し今に至ります。
事業進捗としては本格事業化以降、大変順調でこの一年で大きく成長したサービスとなりました。
※2023年11月分はnote作成時点では見込み値

プロダクトとしては、求人Hubは求人データの構造化、配信先の最適化、配信先毎の原稿最適化、複数配信先への一括配信、応募情報の連携、KPI/ログデータの収集などの機能を持っています。

求人データの構造化

求人Hubでは、広告主様からご指定の形式で求人原稿のデータをお預かりしています。
プロダクト上では最適化や配信を行うために、バラバラな形式でお預かりしたデータの整形や非構造データを構造化したり特徴量を抽出するなどして、利活用可能な状態でストアしています。

配信先の最適化

ネットワーク上の各種配信先の得手不得手やコンセプト、広告主様のニーズや方針に合わせて、配信先の最適化をしています。
配信ロジックによる自動最適化の部分と配信先選定など人が判断する部分があります。構造化したデータを活用した配信ロジックを構築・改善、各種配信先や広告主様からヒアリング・CVR等のデータ提供を受けてPDCAを回すなど様々な取り組みをしています。

配信先毎の原稿最適化

配信先の最適化は「どの求人」を「どの配信先」に配信するかが論点でしたが、配信先媒体毎に求人データの最適化も行っています。
まずは求人原稿のフォーマットや文字の長さ・必須・任意項目などのバリデーションを各配信先に合わせるなど最低限配信を成立させるための対応を行っています。
また、職種等の属性情報を各配信先のマスタデータに合わせて正確にマッピングしたり、各配信先の仕様や掲載順のロジックに合わせて、露出と応募率が最大化するようにチューニングを行い配信をしています。

複数配信先への一括配信

こうして生成した求人データを複数配信先に配信を行っています。
配信方法自体も各掲載先ごとに様々なフォーマット、ファイル形式、配信方法があります。
現状、求人HubではSFTPでのファイル転送と求人検索エンジンを提供する形での配信を行っています。
これらのインポート/エクスポート処理についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。

求人検索エンジン

上述の通り、求人Hubでは検索エンジンの外部提供を行っています。
複数の配信先で利用されるため、配信先毎にModelを用意し各配信先のニーズに応じて運用する形を取っています。
また各配信先から検索・閲覧・応募のログを収集し、各種検索指標や配信先毎の検索ニーズの把握とインデックスの調整を行っています。

応募情報の連携

媒体ネットワーク上で発生した応募は、最終的に広告主様にデータとして届けられることで成果となります。
広告主様毎に必要とされる応募情報や応募情報に紐づく属性情報などが異なるため、求人情報同様に変換を行い、連携する形を取っています。

KPI/ログデータの収集

配信・連携をする中で生まれる各種データやログ等は蓄積し、事業運営に役立てています。
Big QueryやRDBはRedashと連携することで、各種データの蓄積と分析を行っており、必要に応じてSpreadsheetやGoogle Colab上でPythonを書くなどして分析・課題整理を行っています

https://caratinc.jp/Product#team

「求人Hub」が解決する課題

求人Hubは「適切な求人を必要とする求職者に自然に届ける」ことを目指したプロダクトです。
求人Hubでは、既存の求人広告に以下のようなイシューを感じており、これらを解決しにいくプロダクトを作っています。

ターゲティング

従来の求人広告では、掲載された求人に対してユーザーの検索に対して露出を行ったり、ユーザーが登録した情報に応じたメルマガ配信など検索連動型の露出が主体でした。また、一度閲覧するとリターゲティング広告が行われますが、閲覧ベースのため精度が高いわけではない状態でした。
後述する属性データの不正確さもあり、ターゲティング精度に課題がある状態でした。

求人原稿と属性情報

求人原稿1つ1つはしっかりと記述され品質が高いものも多いものの、運用時に露出を目的に複製や属性データの変更(千葉の求人を東京に紐付けて配信する等)が発生しているケースがありました。
ユーザーに取っては検索体験自体が棄損され、事業者にとってはCVRが低下する等の現象を引き起こしていました。

ネットワーク性

求人媒体がネットワーク化されておらず求人企業側で媒体選定や入稿、効果計測などが都度必要でした。そのため様々な企業が様々な媒体に求人を掲載し、各所に求人が点在する状況がありました。また、各媒体がそれぞれにユーザー集客を行っているため、ユーザーも各所に点在しマッチングしきれない構造が発生していました。

今後の展望と挑戦

求人Hubではこれらのイシューに対し、既存の取り組みと今後予定している様々な取り組みでアプローチ・改善していければと考えています。

高度なターゲティング求人広告の実現

求人Hubでは現状、配信先毎に最適な求人を抽出したり、属性データなどの最適化でターゲティング/マッチングの改善に取り組んでいます。しかしアドテクノロジーの分野では、DSP/SSPのようなより個人にターゲティングした技術やAIや機械学習などの活用により配信精度の改善が進んでいます。求人広告の分野でも同様に圧倒的に高い精度の広告配信が実現できればと考えています。

求人データの構造化技術の発展

一部取り組んでいるものの、重要度が高くまだまだ発展が必要な領域です。
自然言語処理(NLP)、大規模言語モデル(LLM)、機械学習(ML)、ルールベースなど様々なアプローチでPoCや ABテストを行いながら、より多くの非構造データの構造化や精度自体の改善に取り組んでいます。ここの発展が配信ロジックやターゲティング精度の根幹を担うため、重要度が高くチャレンジのしがいのある領域です。

ネットワークの拡張

求職者の方に求人広告を適切に届けていくためにはネットワークの拡張も重要なテーマの一つです。現在は求人媒体が主要な配信先属性となっていますが、記事媒体や転職サポートツール系のサイトなど様々な面への拡張を進めていきたいと考えています。
またそのためには配信方法の発明も必要になるため、実現方法の模索が大きなテーマです。

HR企業への技術提供

ここまで記載してきたような取り組みでの知見や技術を自社で独占するのではなく、HR企業向けに提供・展開していければと考えています。そうすることで業界全体の改善につながればと考えています。

さいごに

求人Hubチームをはじめ、Caratではプロダクトチームの積極採用中です。
求人Hubの開発はRails, AWSを中心としたバックエンドの開発がメインとなります。バックエンドエンジニアの方、少しでも興味を持ってくださった方は下記の募集から気軽にエントリーいただければ幸いです。


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