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風で舞い散る桜のように Ep.1

「もし今、俺が付き合ってって言ったら?」


風は私に言った。

図書館までの長い登り坂

「登るのめんどくさいよー」

って言う私の背中を、

風は何も言わずにいきなり無邪気に押し始めた。


飾らずに自然体でいても一緒に楽しんでくれる、

そんな風のことが気付けば好きになっていた。

でも私は自分から好きなんて言えなかった。

そのときの私に言えるせめてもの言葉は

「あのとき付き合ってたらなぁ」

それだけだった。

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