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オリンピック・パラリンピック観戦に、 公立の小中学校の子ども達が動員される問題について、居住地自治体の教育委員会と、 東京都の教育委員会に電話で聞いてみました

1. はじめに

【2021年6月23日 修正点】
リンクを貼っておりましたニュース記事『東京五輪児童・生徒81万人観戦計画に変更ナシ「誰が責任をとるのか」 保護者や教員の不安』(飯塚大和 2021.5.22 AERA dot.)につきまして、リンク先URLを修正致しました。

TwitterなどのSNSや、ネット上のニュースサイトの記事で話題になっている「オリンピック・パラリンピック観戦に、公立の小中学校の子どもたちが動員される問題」について、非常に気になっていました。
なぜなら、私の子どもが通う中学校の特別支援級の、パラリンピック観戦の予定が未だに中止になっていないからです……。

新型コロナ感染のことも不安ですが、この酷暑……。
熱中症のリスクを考えると、ますます不安になります。

うちの子は、発達障害児です。
発達障害の子どもは、自分が暑いと感じていることや、喉の渇き・身体の疲れに気付くのが遅くなることがあります。また、熱中症を未然に防ぐための水分補給や、上着の着脱・日陰に入るなどの対応が遅れる、またはできないことがあり、重症化して倒れる可能性も考えられます。

新型コロナ禍で医療機関が逼迫しているなか、熱中症で倒れて救急車で運ばれても、受け入れ先の病院が見つからないケースが容易に想像ができる状況のなかで、国内外から多くの人が集まるビッグイベントに、子どもを送り出しても大丈夫だろうか……という不安は、日増しに高まっていきました。

また、子どもの熱中症やコロナ感染も不安ですが、引率してくださる先生達が感染しないかも心配です。
オリンピック会場に行くからといって、新型コロナワクチンの優先接種ができる訳ではありませんし……。

もし、会場でクラスター感染が発生して、観戦しに行った先生・生徒が感染するというような事態が発生した場合どうなるんだろうか?
そして、感染した人がいたとしても、無症状なので陽性だということに気づかずに通勤・通学を続けることで、地域や家族たちに感染を広げるようなことが起きないだろうか?
もし、そうなれば学校は長く休校になるだろうし、家族たちは濃厚接触者になり通学や出勤の制限を受けるだろう。なかには重篤化して亡くなる先生や子ども、その家族も出てしまうかもしれない。

そのときに、いったい誰がどのように責任をとるのだろうか?

オリンピック・パラリンピック観戦に参加させたいという保護者の方には申し訳ないですが、私はこの事態が不安で仕方がなかったので、まずは居住地自治体の教育委員会に問い合わせてみることにしました。
そこに権限がないなら「どこから観戦させるように指示されているんですか?」と聞いて、そこにも問い合わせをしてみようと考え、今日は2ヶ所に電話で問い合わせをしてみました。

2. 居住地自治体の教育委員会に電話をしてみた

オリンピック・パラリンピック観戦(以下、オリパラ観戦と書きます)に、公立の小中学校の子供達が動員される問題について、まず、居住地自治体の教育委員会 教育指導科に電話をしてみました。
用件を話したところ、指導主事の方に繋いでいただけました。

区内の小中学校の生徒・教師のオリパラ観戦については、東京都からの通知がないので詳細は決まっていないが、今の時点では予定通り行うとのことでした。

「オリパラ観戦に欠席することは、授業を欠席する扱いになりますか?」
という質問については、「現時点でもコロナ感染が心配でという理由での欠席は出席停止扱いにはしていないので、今回も同じ扱いになると想定されますが、最終的には学校長の判断になります」とのことでした。

続いて、「区として、子どもや教師の安全を優先するために、うちの区では子ども達のオリパラ観戦は中止したほうがいいのではないか、といった議論はされているのでしょうか?」という質問については、「東京都が決めることですので、私どものほうではそういった話は出ておりません」ということでした。
ちょっと、ガッカリ。

3. 責任や補償については、未定

居住地自治体の教育委員会の方と電話したなかで、最も「ええ!?」と思ったことは、

・会場での新型コロナ感染や熱中症などのトラブルが起きた場合。
・会場で新型コロナに感染した人達が、無症状なので陽性であることに気づかないなどの理由で学校や地域・家庭などに持ち帰ってしまって感染拡大が起きたり、重症化患者が発生した場合。
・濃厚接触者や陽性者が多く出たために学校が長期休校になる等で、子ども達や先生が不利益を被った場合。

など、様々なリスクが考えられますが、誰がどのように責任を取るのか、また補償はどこがどのようにするのかについては、全く議論がされていないということでした。こんな重大な事態に、危険な場所に教員や生徒を送り出すという行事を、中止せず決行すると決めた人がいるはずなのに、責任の所在や、どこがどのように補償するかについては、全く議論されていない……。俄かに信じられない話です。
あと、これも非常に驚愕した話なのですが、特別支援級の子ども達もバスのチャーターはなく、会場までの移動は電車になるそうです。
新型コロナ感染対策・熱中症対策・移動中の安全対策……引率の先生方の負担もあまりにも大きいですし、子ども達の負担も大きいのではないでしょうか。

さて、居住地自治体の教育委員会の方と話をしていても、結局は「東京都からの通達がないので」「東京都が決めることですので」と言われてしまうので、「東京都の教育委員会に聞けばいいのだろうか?」と思い、電話に出てくれた主事の方に聞いてみたところ……どうも東京都の教育委員会も、都のオリンピック・パラリンピック担当者から話が来るし、都のオリンピック・パラリンピック担当者には、オリンピック・パラリンピックの組織委員会から話が来る、その上もあるだろうというお話がありました。

そこで、私の中で「???」と疑問が沸いたのですが……文部科学省や東京都教育委員会等の教育関係の役所からの通達で、公立校の生徒・先生のオリパラ観戦に関連するアレコレが決まってるんじゃない、ということでしょうか……?

なぜオリンピック・パラリンピックの組織委員会(公益財団法人)の言うことを、公立の学校が聞かなければならない状態になっているんだろうか?

そんな疑問を抱えつつも、問題解決への道はActionを起こすことで切り拓かれると信じて、今日は東京都教育委員会 政策担当にも電話してみました。

4. 東京都の教育委員会に電話をしてみた

東京都の教育委員会 政策担当に電話をして用件をお話ししたところ、所轄の部署にお繋ぎしますとのことで、指導部 指導企画課 オリンピック・パラリンピック教育担当の方とお話しすることができました。

東京都の立場について聞いてみたところ、
「東京都としてはあくまでも機会の提供をするという立場であって、絶対に参加しなさいと言うことはできませんし、そのような立場でもないと考えています」
というようなお答えをいただきました。

ただ、コロナ感染症対策について具体的にどのように行うのかの情報がオリンピック・パラリンピック組織委員会から入ってこない状況なので、都としても(判断する材料がないので)判断ができないし、自治体や学校も情報が入ってこないために判断ができていないのではないかいう問題があるようです。

「観戦を予定している日にちが迫ってきていますが、オリンピック・パラリンピック組織委員会に対して、回答の期限を設けていますか?」
ということに関して聞いてみたところ、
「都としては要望は挙げているのですが、この問題はオリンピック・パラリンピック組織委員会と国との調整の問題も入ってくるために、オリンピック・パラリンピック組織委員会だけではスケジュールについて答えられない事情もあるのでしょうか」
という話で、のけぞりそうになりました。

例え話として都の方から出たのが、
「例えば、オリンピック・パラリンピック組織委員会に対して、国から観客は5割などの指導が出ていた場合、その指示に従うための調整もしなければならないということがあるかもしれません」
という話でした。
く、国〜!? しっかりしてほしい!ヽ(°ω。)ノ

「では、国のどの省庁・部署が担当しているのですか?」
ということについては、「都からはお答えできません」ということで、
またしても「ええ〜!?」となってしまいました……。

6. 公立校のオリパラ観戦の経緯

公立校のオリパラ観戦の経緯については、新型コロナ感染問題が起こる前に、東京都から各自治体の学校に参加したいかどうかの希望を聞き、学校から求められた枚数を、東京都がオリンピック組織委員会に「チケット○枚希望します」と希望を出し、東京都が一括購入したという話でした。

が、私からの「チケットは確保できてるんですか?」という質問などについては
「チケット購入の手続きについては一切お答えできません」というご回答でした。

学校から出された希望数は確保できているが、そのチケットが購入済みなのかや、すでに各自治体が持っている状態かについては答えられないというのは、私としてはちょっと意味がわからなかったのですが……。

まぁ、それは置いておきまして、オリパラ観戦について東京都の立場について再度聞いてみたところ、
「東京都としてはあくまでも機会の提供をするという立場であって、絶対に参加しなさいと言うことはできませんし、そのような立場でもないと考えています」
と、いうようなお答えをいただきました。

7. まとめ

結局、今日、居住地自治体の教育委員会と、東京都の教育委員会のオリンピック・パラリンピック教育担当に電話で聞いた話でわかったことは、

・オリンピック・パラリンピック組織委員会からコロナ感染対策についての連絡がないので都や自治体・学校が判断を出せない状態。

・オリンピック・パラリンピック組織委員会と国との調整もあるのでスケジュール未定

・東京都はオリンピック・パラリンピック組織委員会からのコロナ感染対策等の情報をもらい次第、各自治体や学校に情報共有をする予定。

・オリパラ観戦に参加するかどうか、最終的に決定するのは市区町村や学校長の判断次第で、都から「絶対に参加しなさい」指示することはないし、そのようなことが言える立場でもない。都はオリパラ観戦の”機会を提供する”という立場。

・オリパラ観戦に参加することによってコロナ感染・熱中症で倒れる・無症状の感染者が学校や地域で感染拡大させてしまう等の問題が起きた場合に、どこがどのように責任をとり、補償をするかは区・都では議論されていない。全くの未定。

と、いうことくらいでした(´ω`)。

居住地自治体の教育委員会の方も、東京都の教育委員会の方も「子ども達の安全を最優先する」ということは、どちらも言っていらっしゃったので、その言葉通りの決断を、然るべき時に下していただきたいです。

引き続き、オリンピック・パラリンピック組織委員会や、国の関係機関にも電話で問い合わせをしてみたいと思いますが、今日はこの辺で……

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