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【詩】椅子
もういない、誰も座っていない椅子を見つめて、座っていた人の顔を忘れていた。性別も、声も、顔も、言葉も、思想も、全てが、椅子を残して消え去ってしまった。
その椅子に座る人と、わたしは、話をしただろうか。目を合わせただろうか。時間が過ぎたことが、結論のように、わたしは椅子を見つめている。
そこに居た、存在した、それは記憶、それは、存在証明の根拠になるのだろうか。
わたしに残るさみしさ、それを信じることは、存在証明の根拠になるだろうか。
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