見出し画像

85. 選手にとってロッカールームってどんな場所?どんなことが話されている?

みなさんこんにちは。三浦優希です。
今回のnoteでは、みなさんが普段あまり知ることのできない、ロッカールーム(控室)での様子をお届けしたいと思います。それではよろしくお願いします。

どんな存在か

まず始めに、ロッカールームとは、選手やコーチ、トレーナーなど、チームに関わる人にとって「家」のような存在です。自分の名前が張られたパーソナルスペースやシャワールーム、このほかにもサウナ、ミーティングルーム、トレーニングジム、ボディケアルーム、娯楽室、用具室、着替えスペースなどなど、ロッカールームと言っても色々な場所があります。練習がある日はもちろん、練習がないオフの日や授業の合間など、特に用がなくてもなんとなく訪れてしまう選手も結構います。そして、これは僕の今までの経験上の話ですが、「ロッカールームをきれいに保たないチームは強くない」です。競技レベルが上がれば上がるほど、ロッカールームに落ちているゴミの数は極端に少なくなり、衣服や椅子なども常に整頓されています。これはもちろん、競技レベルが上がった分、用具マネージャーの方や清掃をしてくれる方のサポートが手厚くなるということはもちろんですが、それ以上に、高いレベルでアイスホッケーを行っている選手たちには共通して「僕らの居場所を綺麗に保とう」という意識が感じられます。(中には例外の選手もいますが。笑)

何が話されているか

控え室では本当に多くの会話が生まれます。今回は試合の日に焦点を当ててお話をします。僕らのチームは、試合前の約2時間前に集合し、それぞれがテープを巻きなおしたり試合に向けた準備を進めた後、試合前のビデオミーティングが行われます。そこでは、相手チームの動きの最終確認や、こちらがどのような陣形を取って攻め/守りを行うかというのが話されます。その後、ウォーミングアップを行い、いよいよ試合開始数十分前というところで、監督からスターティングラインナップ(スタメン)の発表と共に、試合に臨む上での最後の言葉が話されます。ここでは主に、戦術面というよりも選手各々のメンタル面、チームとしての戦う姿勢について鼓舞するメッセージが届けられることが多いです。例えば、

・What is "Laker Hockey"(私たちのホッケーとはどんなもの?)
・Play 60 mins(60分間、最初から最後まで全力で戦う)
・Tenacity, Decipline, Communication(粘り強さ、規律、コミュニケーション)
・Simple, Hard, Heavy(シンプルに、ハードに、ヘビーにプレイする)

などです。試合に勝つために、「チームとしてどの方向を向いて戦うか」ということを言われます。監督コーチ陣がいなくなり、選手たちがいよいよ氷の上に向かうという時には"Let's go boys!!"といった声がたくさんあがり、チームの士気はより高いものになります。この瞬間が僕は大好きです。ハンドシェイクをしたり、声を掛け合ってハイタッチをしたり、気分は最高潮になります。ちなみに、このときの動きはほとんどルーティン化され、選手は毎試合ほぼ同じ時間に氷上に行く準備をし、同じ動きをしています。)

アイスホッケーは20分×3ピリオドのスポーツで、各ピリオドが終わるごとに選手たちはロッカールームに引き上げます。そこでは、1ピリオドの様々なフィードバックがいろんな場所で飛び交います。
「あのシーンのシュートはとても良かった」
「もっと守りの意識を持とう」
「ナイスシュートブロック」
「この時はこう動いてほしい」
などなど、隣にいる選手と話すときもあれば、向かいの席にいる選手とコミュニケーションを取り合うこともあります。基本的にはポジティブな会話だったり、チャンスを外した選手に対して良い意味でのジョーク(今回は決めるつもりなかったのね!的なもの)などが話されますが、例えば1ピリオドを終えて0対3で負けているとしたら、控室には、どよんとした空気が流れます。なかなか会話が生まれない瞬間もあります。そういったときにはチーム全体に対して喝を入れ、「もう一度やるべきことをしっかりやるぞ!」というような声をかける選手が出てきます。毎回同じではないですが、やはりキャプテンだったり上級生が言うことが多いですね。

各ピリオドのインターバルは15分ほどあるのですが、コーチ陣が話に来る時間というのもだいたい決まっています。そして、そのピリオドの良かった点、悪かった点というものを端的に話します。ここで、相手の戦術に対応するためのフォーメーションチェンジなども行われます。(もちろん戦術変化は試合中にも行われていますが、大きく戦い方を切り替えるときはインターバル中が多いです。)

中には、名指しでプレイを指摘されることがある選手もいます。これは特に、実力・スキル面での失敗というよりも、弱気な姿勢や戦う準備ができていないと見受けられる選手に対して行われたりします。(僕も過去にありました。笑)プレイヤーとしては本気でやっているつもりでも、実はその努力が圧倒的に足りていないことというのがよくあります。それを教えてくれるのがコーチ陣だったりします。

こういったことがピリオド間に行われながら、試合は進んでいきます。そして、試合の最後には必ず勝敗というものがつくわけですが、勝った時と負けたとき、もっというと良い試合をしたときと悪い試合をしたときでは話される内容というのももちろん変わってきます。

勝った時は、選手みんなは本当にワイワイしています。ハイタッチをしたりハグをしたり、気分は最高です。ここには書けないような言葉を叫んだりするような選手もいます。笑
監督コーチ陣もすぐに入ってきて、試合の振り返りをした後、その日の「ハードハット」というヘルメットを受け取る選手を決めます。これは、前の勝利試合の際に受け取った選手が、次に勝った試合で最も活躍した選手に受け渡していくものです。そして、それをもらった選手は一言スピーチをし、それに対しみんなで拍手する、といった流れです。コーチが去ってからは、スピーカーで音楽をガンガンにかけ、ダンスを始めたり歌ったりする選手も出てきます。

一方、負けたときのロッカールームの雰囲気は真逆です。しばらく無言の状態が続いたりします。そして、コーチたちはすぐには選手たちがいるところに入ってきません。これはきっと、まず選手たちに試合の振り返りをさせる、ということなのではと個人的には思っています。

無言と言っても、それがずっと続くわけではなく、沈黙を破る選手が出てきます。何が悪かったのか、何が足りなかったのか、次の試合に向けてどうすればよいのか、といった内容の会話がそこから少しずつ生まれてきます。そして、その会話がある程度落ち着いたところでコーチたちが入ってきます。これも内容によりますが、試合内容には全く触れず次の予定だけ(明日の集合時間など)を言って部屋を出ることもあれば、その試合内容に対して感情をあらわにしながらフィードバックを伝えることもあります。

たいてい、コーチが選手を叱るときというのは、先ほども言いましたが、実力が足りないときではなくて、やれるはずなのにやらなかったり、ゲームプランに沿ったプレイが出来ていないときです。「お前は下手だ!」といったような言葉が出ることはありません。

勝ち負けへのこだわり

まとめになりますが、チームメイトなどを見ていると、良い意味で「単純」だなあと感じることが多いです。勝ったら喜ぶし、負けたら不機嫌になる。本当にシンプルです。ただ、これはきっと本気の勝負をしているからこそ出てくる感情なんだな、とつくづく思います。そしてそれは自分も同じです。ここに来てから、「勝利することの難しさ、そしてそれを達成したときの喜び」というものをより理解できるようになったと思います。

やっぱり、勝つことは最高に気持ちいいです。もっともっとこのチームで試合がしたい。プレイオフ進出に向け、残り4試合。チームの勝利のためにすべて出し切ります!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

三浦優希

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?