死者不幸の夜

自分の字を褒められるとうれしくなったのは
空白の時間の孤独な努力の結果だったから。

煩いよ、投稿の削除で跡形も無くなってしまうようなチープな愛情も、飛び交う欲と熱に発せられた会話も
ただ煩い。

私とは違う時間軸でぐんぐん人生を進めていくみんなも
ずっとあの地点を忘れないでいることで自分だけ薄情者から免れていると勘違いしている自分だって、抜け方がわからなくてすっかり大人になってしまった自分の輪郭も実感できないでいる。

がらんどうな私の頭から消えないこのやけに高コントラストな風景ごと抱いて、何も見えなくなるまで酔わせてくれよと
変な香りの酒を脳天まで届けて夜をひとつ越す。

こんな私をあなたに見られてしまえば、
あなたをひどく傷つけてしまうと想像して、貴方の嫌がった煙草を咥えてそんなに嫌なら止めに来てよと咲う私は死者不幸も良いところ。

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