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この窓から見える景色と暮らしたら

この窓から見える景色と暮らすことを想像してみる。
高台から見下ろせる海と港と風を感じながら生活したらどんな要素が私に取り込まれるのだろう。
日々口にする食べ物で私ができているのと同じように、日々目にする風景は私の思考や感覚に少なからず影響を与えるはずだ。

何段もの階段や坂道を登りようやく辿りつく高台の家。
車も通れない細い道を歩いて辿り着いたその家はある種特別な場所だ。
その特別な住処の窓から海をのぞむ。
風が部屋を吹き抜ける。
地上からの距離は、現実世界との距離のようにも感じられる。

ちょっとした現実逃避ができる場所。
秘密の場所。
そんな場所をひとつ持てたら人生がよりしっとりするかも。
しっとりと、潤いある人生。

ところで、この窓のある家は現在空き家。
すなわち主人がいない家。独特の空気が流れている。
かつてそこに住んでいたであろう誰かが残した気配がまだ消え去っていない。

この窓から見える景色を体に刻んでいたであろうかつての主人はしっとり、潤いのある時間をこの空間で過ごしただろうか。


昨日訪ねた横須賀の空き家でそんなことを思った。


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