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旅の適齢期
沢木耕太郎さんの『旅する力』という本に、「旅の適齢期」という言葉がでてきます。
経験と未経験のバランスがとれた、26歳という年齢が「旅の適齢期」かもしれないと。
未経験ということ、経験していないということは、新しいことに遭遇して興奮し、感動できるということである
この本を読んだ当時、ちょうど26歳だった私は、もう適齢期が終わってしまうと、少し不安になりました。
いまのように、旅に感動できなくなってしまったらどうしよう。
まだ感動すべきなのに、行けていないところがあるのではないか?
思えばそのころは、いつも旅をしたくてうずうずしていました。
部屋にコインで行った国をスクラッチできる世界地図を飾って、旅した国を削ったりして。
「できるだけたくさんの世界を見たい」「日常の閉塞感から抜けだして、知らない場所で深呼吸したい」というような勢いを持っていた気がします。
それからしばらく経って、いつのまにかその衝動のようなものは消えていました。
たしかに「旅の適齢期」は過ぎたのかもしれません。
ただなんだかんだ理由があって、毎年旅をします。
出張で立ち寄ったり、友人や仕事で知り合った人に会いにいったり、結婚式を祝いにいったり。
世界地図をスクラッチしていたのが、ご縁がある場所に立ち寄るような感覚になりました。
「新しいことに遭遇して興奮し、感動する」ことは減ったけど、そこにいる人の暮らしや、その場所で生まれた文化をじっと見るようになったように思います。
26歳のときは「適齢期」の終わる焦燥感に駆られて忘れていたけれど、思えば『旅する力』には、10代には10代の旅、20代には20代の旅、30代には30代の旅というように、それぞれの年代にしかない旅があるとも、ちゃんと書いてありました。
20歳のころの旅は、確実に私の人生を変えたけど、30歳の旅だってじわじわ効いてくるのだろうなと思います。
昨日、秋にウガンダに行くことを決めました。
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