(日々)「ベトナムのものはなにもない」/読める!/大人だから、厳密じゃなくていい
2023/2/19 「ベトナムのものはなにもない」
1人でふらふら歩いても見えないものがあるなと思い、ツアー的なものに参加した。学生が1対1で案内してくれるものだ。
黄色と緑のおしゃれな郵便局。フランス植民地時代、5年間だけ運用され、今は映え観光地だ。向かいのノートルダム教会も、フランス統治時代のもの。こちらは改装中で入れない。
「改装も含めて、この建物の材料は、みんなヨーロッパからきている。ベトナムのものはなにもない」と案内役の学生さんが言う。
華人地区のお寺に訪れる。中国の神々が彫られた壁の飾りが美しい。
「きれいですね」と言うと、「まぁ、これも全部、材料からなにから中国のものだけどね」と返ってくる。
次に行ったのは、最近若者の間で流行っている屋台街。サトウキビジュースとバナナ入り焼きライスペーパーで、休憩をする。
「カンボジアでホロコーストがあったでしょう? ここはそこから逃れてきた人たちが、開いたところなんだよ」
バナナ入りライスペーパーを、ぱきっと折りながら、彼が話す。
それぞれの場所で、自分でふらふら歩くだけでは、受け取れないニュアンスを受け取った。
そして、そのどのニュアンスにも、私はどう答えていいかわからなくて、少し神妙な顔をして、頷いていた。
2023/2/20 読める!
ベトナム語を習いはじめた。
声調が6つ、母音の数が日本語の倍以上の11あるこの言語は、日本人にとって最も難しい言語の1つだと言われている。
はじめのレッスンは、ひたすらそれらの発音を学ぶ。
街中の看板で目にしていた、アルファベットの上下にある謎の記号の意味が明かされていく。
これは母音記号で、これは声調だったのか。
レッスンのあと、街にでる。
謎の記号がわかる今、看板が読める! 読めるぞ!(意味はほぼわからない)
嬉しくて、小声ですべての看板を読み上げながら、歩いた。
2023/2/21 大人だから、厳密じゃなくていい
ベトナム語のレッスン2時間目。
2時間かけて、すべての声調、母音、二重母音、子音を教わった。
「たくさんありましたね〜」と苦笑いする私に、先生がパソコンを閉じながら、さらっと言う。
「まぁ、でも、大人だから、読めますよ。大丈夫大丈夫」
そうだ、大人だ。学生のようにテストを受けなくていい。適当にコミュニケーションをする術も、なんとかそれっぽく話せばいいことも知っている。
もう厳密さにこだわる子どもではないことが、なんだかとても嬉しくなった。
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