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ノルウェーの朝ごはんは、キャラメルみたいな茶色い甘いチーズと黒いパン。

初めて行った外国は?と聞かれると、ノルウェーと答えている。
大学に入学した春。
サークルの新歓で「君もノルウェーに行かないか?」という誘い文句にまんまと乗り「行ってみたいです!」と答えて、7月には日本を飛び立っていた。

実際には、なるべく安く、と世界一周のチケットを手配して、初めて降り立った外国は、USA。
ロスからロンドンに飛び、そこからフランスやベルギー、デンマークなどを回り、目的地、ノルウェーのオスロに到着した。

オスロでは、訪問先の大学の学生の家に泊めてもらったのだけど、それがいわゆるシェアハウス。と言っても、最近の日本によくある、ビジネスホテルみたいな、小さな部屋がずらっと並ぶタイプではなく、日本式に言えば4LDKとか5LDKの広いフラットを数名でシェアしているというスタイル。
リビングもキッチンも広々としていて、家具なども立派で。
ちょうど旅行中だというシェアメイトの部屋を使わせてもらうことに。

日本人の感覚だと、こんな高級マンションを学生が借りて住んでるの?しかも男女混合で?と18歳の小娘は驚くことばかり。

シェアハウス滞在中は、外食もしたけれど、そこは物価の高い北欧ゆえ、基本的には自炊。ノルウェー料理を作ってもらったり、日本から持って行った食材で和食を披露したり。

朝ごはんは、シェアハウスの住人のエレンが用意してくれた。
コーヒーか紅茶と、黒いパンと、茶色いチーズ。
黒いパンは、ちょっと酸っぱいゴワゴワしたライ麦パン。日によって、粒々の穀物や種が入っていたり、スパイスが効いたものだったり。

茶色いチーズというのは、ノルウェー語でBrunost(ブルノスト)とかGjetost(ヤイトスト)と呼ばれるもの。
Brun=茶色 、Ost=チーズ、Gjet=山羊の意味。
実はチーズではなく、山羊か牛のミルクに、ホエー、クリームを足して煮詰めたものだったりする。
山羊ミルクだけのはちょっと癖が強くて、牛乳だけや、山羊と牛のミックスのものも。
これを専用のスライサーで薄く削る。

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テーブルに出てきた時は、何に使うのかな?と思ったのだけれど。

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カンナがけしてるみたいで、ちょっと楽しい。

ゴートチーズ


肝心のお味は、甘じょっぱい塩キャラメルみたいで、なかなか美味しい。
すっかり気に入った私は、毎朝飽きずに、この黒パン&茶色いチーズを楽しんだ。

お別れの時には、このチーズスライサーをプレゼントされた。
よっぽど嬉々としてチーズを削っていたんだろうと思う。

このチーズ、当時、日本ではほとんど見かけることもなく、現地から持ち帰ったものを食べ尽くした後は、ノルウェーの友人が来日の折にお土産に持ってきてくれる時ぐらいしか味わえなかったのだけれど、今は、ナショナル麻布など外国人が多く利用するスーパーや、チーズ専門店、ネットショップなどで入手可能なのだ。

時々、あのオスロのフラットの朝を思い出して、甘い、茶色いチーズを楽しんでいる。
すっかり大人になった今は、コーヒーと一緒にはもちろん、日本酒に合うことを知ってしまって、ついつい、朝よりも夜にお出ましすることが多いのだけど。




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