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「好きにすれば」が難しい

漫画家業界はいつも漫画をデジタルで描くかアナログで描くかでさんざん論争があるのですが、私は無闇に人様にデジタルがいい、とかを勧めることができない。社会が多様化して階層化して、どこにどんな金脈が埋まってるかわからないからです。その人がどの画材や道具を使っていれば成功する、みたいな方程式も全然なくなっているこの時代、うっかりデジタル勧めて、本当はその人がアナログで成功する人だったらどうするの?と思う。特にこれだけデジタルが多くなってくると、アナログはそれだけで価値がある。

ご本人の、好きにしたらいい。

と言うのは突き放してるわけでもなく、その人の最も好んだやり方で当たる確率がわりと高いのではないか、と思っているのです。その画材や道具の良さをよく知ってるからです。その人が選んだ道具がその人にとって一番。道具にはなんでもメリットデメリットがあって、その両面を知って使う、と言うのは、その画材を本当に選んだ、と言うことだ。それが大事。

ここんとこ漫画家クラスタでも3Dに関して議論があったのです。それは人物のペン入れに3Dデッサン人形使ってるか否かの話だったので、ここからの話はちょっとズレますが。(私は3Dデッサン人形に関しても、好きにすればとしか思ってなくて💦)

3D背景使ってる男性の作家さんがずいぶん3Dに関して他の作家さんからいろいろ言われてるようなのを見ると、特に男性誌は厳のように、岩石のように重厚な漫画背景が好まれる故に、3Dは受けいられにくいのかなあ、と思っていました。女性誌の方は、レースのような繊細な軽やかさ、とか、薔薇の花びらのようなしっとり柔らか感、とか、洗って干したお日様の匂いのするコットンのような清潔感、みたいな漫画背景が好まれるので、重すぎるのもどうなんだ、みたいな価値観のあるジャンルだから、男性誌よりも厳しく無い感じするけど。3D背景でも線のモデファイアで揺らぎを加えて情報量を増やしたり、カケアミ合成したり、魚眼レンズ的にわざと歪めてレンダリングしたり、様々な試作を重ねられていて、3Dだから軽い、みたいなこともなくなっていくかもだし。私は3D背景の、軽くて正確さが好きです。

もちろん同じ軽い系でも、手書きの揺らぎも大事な情報量なので、それを好む方もいらして当然だし、そんなのほんと好き好きだから、他人が人様の趣味にとやかく言うことでは無いのでは無いかと。

あなたの感性は正しい、と誰かに太鼓判押されないと怖くてしょうがんないんだろうなあー。わかる。それはわかるわー。💦私も不安です。不安感じた時の対処法も人それぞれで、私はわりと不審人物なくらいに動く方なんですよ。

そんな感じで、今日も元気に不審人物です。


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