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双子との生活

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双子の母としての自分や子どものこと。
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2020年12月の記事一覧

漢字は忘れても一緒に練習したことを覚えていて欲しい

「つくづく思うんだよ。人間ってさぁ、同じ間違いを繰り返す動物だよね。」 漢字練習をしながら、息子がしみじみと呟く。 彼は漢字を書くのがとにかく苦手だ。書き順がいつもてんでバラバラ、右からでも下からでも、自由に書きたいところから書く。だから手が覚えない。漢字テストの時は頭で覚えている形を思い出して書こうとするから、どこかが間違ってバツがつく。 そんな彼もさすがにこれでは中学校に行ってからまずいのでは、と思ったらしく、冬休みの自主学習で漢字をおさらいすることにした。1年生か

涙する息子に捧げるあんずきばっと

なぜだか今、あんずきばっとが食べたい。 たぶん、息子が泣いているからだ。 悲しくなった後で、悲しいと感じた自分の心の動きに戸惑い、不安になっている。そんな彼に、ホッと温まる甘いものを食べさせてやりたい。 あんずきばっと。 口に出してみると、なかなか愉快な言葉だ。外国のおまじないみたいな気もするし、競走馬の名前みたいな気もする。 あんずきばっとは岩手の郷土料理だ。「あんずき」は小豆、「ばっと」ははっとう。粒あんのおしるこ(関西ならぜんざいと言いますね)の餅の代わりにう

私が子どもに字を教えなかった理由は絵本にある

子どもが小学校に入学するまで、字を教えなかった。 というと、けっこう驚かれる。特に女の子はずいぶん早いうちから手紙交換などしたがり、字を覚えるらしい。 ひらがなの読み方は6歳の誕生日まで教えなかった。(でもその後の半年でちょっと教えたら入学前には読めるようになった。) ひらがなの書き方は入学まで全く教えなかった。書くことに興味を示さなかったし、放っておいたら入学まで本当に書けなかった。 入学してすぐ、自分のカードに名前を書かなければならない場面があった。そばにいた先生

絵本の前でわが子と溶け合う

我が家で1番役にたった育児アイテムは、絵本だ。 どこに行くにも絵本が3〜4冊あれば、おもちゃがなくても時間を持て余すことはない。電車の中でそわそわしだした時には、ささやくような小さな声で読んだ。 風邪をひいた時も、絵本を読んであげれば呼吸が整う。子どもの横に並んで寝て絵本を持ち上げて読むと、だんだん腕がしびれてくるが、これで辛さが和らぐなら、と読んだ。 小児科の長い待ち時間も、待合室に置いてある絵本で乗り切った。診察に呼ばれ途中で絵本を閉じると、子どもが怒って泣きだした

仕上げ磨き攻略法

子どもの歯の仕上げ磨きは大仕事だ。 暴れて抵抗し、体をねじって起き上がろうとする子どもを仰向けにするところからもう既に大変。とにかく大の字に寝かせ、両手両足に自分の足を乗せて動けないように押さえる。 すると今度は口を開けない。左手で下顎に力をかけて無理に開かせ、歯ブラシを入れる。それでも必死の形相で、ガッチリ噛みついて歯ブラシの動きをブロックしてくる。 下手すると20〜30分かかる。双子だから✕2、それを朝晩。今思い出すだけでうんざりだ。 ところがある日。 いつもの

夫は絵本で父になる準備をした

我が子への初めての読み聞かせは、まだお腹の中にいる時からだ。 私が幼稚園の時に母が購入してくれた福音館書店の『こどものとも』『かがくのとも』の配本が、処分されずに実家に残っていた。それを結婚の時に全部持ってきていたので、出産前から絵本はたくさん持っていた。 いつもその中から選んで読んだ。自分が子どもの頃に好きだった絵本は、読み聞かせていてもやはり好きだった。久しぶりに手にとってみてしみじみと気に入った本もあった。 夫も私のお腹に見せるようにして読んでくれた。 夫は幼い

電気圧力鍋が欲しい

電気圧力鍋が欲しい。10日ほど前に退職したばかりだが、縁あって次の仕事が決まった。働き始めるのは2月から。 前職はパートタイマーだったが、今回は久しぶりの正社員。数えてみれば18年ぶりだ。 前に正職員として働いていた時は独身だったし、子どももいなかった。パートタイマーの時は子どもの生活が中心で、隙間時間に稼ぐ状態。 今度の仕事はフルタイムで、個人事業主であるマクラメ教室とのダブルワーク。我ながら無茶な決断をしたのじゃないかと震えてくる。 そこで、電気圧力鍋だ。 最も

母の願いを叶えてくれてありがとう

きっかけはコロナ。緊急事態宣言が発出され、子どもたちは休校、私も自宅待機となった間に、You Tubeのエクササイズ動画を見ながら運動を始めた。 普段から運動習慣のない私でさえあまりにも動かない生活に危機感を感じたからだが、ちょっとずつ楽しくなってきて、いつの間にか筋トレにハマってしまった。 初めは簡単なエアロビクスやダンスの動画を見ながら運動していた。 だけど、子どもらに、不思議な生き物でも見るみたいに無言でジーッと見つめられる中で、振り付けをぎこちなく真似るのははな

家事は、人の役に立つことを喜びとして知る第一歩

小学4年の夏休み。朝5時半に足音を立てないよう気を付けながら起きて台所に向かった。 鍋にお湯を沸かす。 豆腐を切って入れる。 乾燥わかめを入れる。 急に思い出して煮干しを2~3入れる。 味噌を入れる。 母が起きてきた。私が作った味噌汁を見てびっくりする。とても嬉しそうに笑う。 母の笑顔に満足した私は、もう味噌汁の出来不出来は気にならない。後ろで母がこっそり味を調えていたようだけど、いつものとおり妹とふざけながら朝を過ごす。 朝食の時、「ゆきこもこんなことできる

双子の出産は誇らしい

人生100年時代と言われる。 私はまだその半分を行くか行かないか、というところだが、私の人生で最も誇らしいことはすでにやった。 それは、双子を下から産んだことだ。 38週に入ったその日、朝から誘発分娩の点滴をしていた。 時々ギューとお腹が張ってカチカチになるので、これは陣痛か?とドキドキするのだが、良く分からず。助産師さんに私が陣痛に気付いてないだけ?と聞くと「陣痛が来たら絶対分かるから大丈夫」と答えにならない答えが返る。 結局、陣痛がつかないまま点滴は終了し、夕方