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絵本の前でわが子と溶け合う

我が家で1番役にたった育児アイテムは、絵本だ。

どこに行くにも絵本が3〜4冊あれば、おもちゃがなくても時間を持て余すことはない。電車の中でそわそわしだした時には、ささやくような小さな声で読んだ。

風邪をひいた時も、絵本を読んであげれば呼吸が整う。子どもの横に並んで寝て絵本を持ち上げて読むと、だんだん腕がしびれてくるが、これで辛さが和らぐなら、と読んだ。

小児科の長い待ち時間も、待合室に置いてある絵本で乗り切った。診察に呼ばれ途中で絵本を閉じると、子どもが怒って泣きだしたので、診察が終わったら読むからねと、ページに指を挟んだまま診察室に持ち込んだこともある。

もともと、私が、絵本が好きだった。幼稚園の頃、母が福音館書店の配本を購入していたため、普段からたくさんの絵本に囲まれていたおかげだ。

小学校1年くらいまでは、母が寝る前に必ず絵本を読んでくれた。読み終わる前に寝てしまうことも多かったと思う。だって、柔らかい布団にくるまって母の声を聞いている、これ以上の安心があるだろうか。ただ『幸福』としか表現しようのない時間。

だから、私も、子どもが生まれる前から、たくさん本の読み聞かせをしてやりたいと思っていた。

子どもたちが小さい頃は、一日中が絵本の時間。求められるままに読み、「読むよー」と声をかけては読んだ。

もう少し体を使う遊びもさせれば良かったと今になって思うが、私も子どもも絵本を読むのが大好きだからしょうがない。

どんな日でも、寝る前には必ず読み聞かせをした。結局その習慣は、子どもたちが12歳になる今でも続いている。

読み聞かせは情操教育に良いとか、想像力を養うとか聞くが、そんなことはどうでも良い。実際、毎日毎日読んでいるが、我が子らに何か素晴らしい効果があったようには見えない。

ただ、私にとっては、親と子の年齢分の経験差を埋めて同じレベルで楽しめる唯一のものだった。前述のとおり、とても役に立つ実用的な育児アイテムでもある。そんなものは他に思いつかない。

絵本を開けば、そこにいる私と子どもは境目のない空気のように溶け合った。そうして本の中にするりと入り込んで一緒に遊ぶ。ひたすらに幸せなひとときである。

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