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「更年期とキャリア」のこと

『誰もが自分らしく楽しく働く』ことを応援している岩倉ゆきこです。

先日、企業講師の皆さまに『更年期とキャリア』をテーマに講座をお届けしたところ、男女問わず「もっと早く知っておきたかった!」という声を多く頂きました。

全ての女性に訪れる大切な身体の変化ですが、学校で学ぶことはなく、大人になっても「正しく知る機会」が少ないため、意外と理解していない方も多いのかもしれません。

働く女性として、また女性と働く男性として、ぜひ知っておいて頂きたいことを、ほんの一部ですが書いてみましたので、参考にして頂けたら嬉しいです。

更年期とキャリア

男女問わず私たちのカラダは年齢と共に変化することが当たり前ですが、こと女性に関しては変化が激しく、一般的にキャリアを築く20~50代は、月経や妊娠、出産、更年期を経験しながら働く『カラダとキャリアの波乗り』が必要になります。

女性の「更年期」にあたる「45~55歳※」は、ちょうどキャリアの成熟期でもあり、カラダとキャリアの波乗りが最も難しくなる時期と言えます。(※日本人の平均閉経年齢50歳を元に考えた場合の更年期年齢)

女性就労率の上昇に伴って、更年期特有の不調を抱えながら働く女性は少なくありません。ホットフラッシュ、めまい、イライラ、だるさ、物忘れ・・・etc. と症状は様々、程度も人それぞれです。
《実は、この多様さが更年期と自覚すること、そして周りの理解を得ることを更に難しくしているのです!》

症状が出やすい人の場合、仕事に影響を及ぼさないことは難しく、効率の低下、休むことによる労働時間の減少、キャリアアップへの意欲減退、更には離職を選択するケースもあるのです。

「更年期で離職?!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、女性の更年期の不調に伴う離職、いわゆる「更年期離職」は、年間およそ46万人にも上ります。そして、更年期離職は男性も例外ではなく、およそ11万人もいることが分かっています。

また、これらの人が仕事を失った状態が1年間続いた場合、

社会全体にもたらされる経済損失は、男女あわせて6300億円に達する

と言われ、見過ごせない課題であることは間違いありません。

どんな対策があるの?

では世の女性達は、どのように更年期のカラダとキャリアの波を乗りこなしているのでしょうか。

1番多い答えは、「何もしていない」です。

様々な調査から分かっているのが、多くの女性が更年期の症状を感じつつも、何もせずひたすら耐えていることです。その理由は<忙しい、恥ずかしい、先輩たちに倣った、方法が分からない>など色々ありますが、何もしなかった結果、症状が悪化して更年期障害になってしまったり、キャリアが継続できなかったり、と望まぬ結果になることも実際に起きています。

ある人は、ずっとバリバリ働いてたにも関わらず、急に仕事で物忘れによるミスが増えてきたことに戸惑っていました。実は「物忘れ」も更年期の症状の一つなのですが、それに気が付かず、自分の能力に自信を失ってしまい、その方は退職をしてしまいました。

更年期はいつか終わりがありますし、婦人科で適切に診察を受けて症状を改善することもできます。この方も自分で知っていれば、誰かが気づいてあげていれば、その後の働き方も変わっていたのかもしれません。
《このような事例から、やはり「知る」という第一段階の大切さ、を痛感します。》

ハードとソフトの必要性

そういった女性の状況を踏まえて、ついに国として新しい動きがありました。

今年度、更年期の症状が仕事や日常生活に与える影響について、政府が初の実態調査に乗り出すことになったのです。

政府は現状を把握した上で、普及啓発や支援施策につなげるということなので、「生理休暇」「母性健康管理」と同様に、ようやく「更年期休暇」などの制度が今後整っていくものと思われます。

更年期に対する取り組みで先を行く企業では、休暇制度だけではなく福利厚生としての漢方使用の支援や、相談窓口の設置などを進めていますが、まだまだ始まったばかりです。

今後、政府主導で制度が整っていくことは喜ばしいのですが、最も重要なことは「実際に使える制度」にしていくことです。「生理休暇」の二の舞にならないよう、ただ制度を用意するだけではなく、実際に制度を利用できる「場づくり」も同時に進めていく必要があるように思います。

当事者の問題だけにせず、ソフト(思いやりのあるコミュニケーション)を大事にする積み重ねによって、ハード(制度)が本当の意味で活かせる「場」が作られていきます。これが将来的に企業として大きな違いを生むのではないでしょうか。

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