見出し画像

朱から読み解く古代史

朱といえば辰砂(水銀)
と、考えてしまいがちだが、
朱という漢字の象形からは別の歴史が読み解ける。

朱 シュ、あか、あけ

象形。木の幹の部分に肥点を加えた形。要するに幹にコブがある。
その肥点の意味する所が明らかではないが、金文では専ら丹朱の朱に用いられており、朱の採取の方法に関するものと見られる。
説文では、赤心の木、松柏の属なり、木に従うとある。白川静先生は、これが水銀の蒸留法を示すと解釈されているが、それは漢字成立後の世界だろう。

木の肥点はカイガラムシによる隆起。
臙脂色を生み出すコチニールカイガラムシもしくはラックカイガラムシ。
コチニールカイガラムシは、ウチワサボテン属のサボテンに取り付き、口吻を師管に差し込んで吸汁する。
松柏は針葉樹でありサボテンとは針を持つ点が共通している。

ラックカイガラムシは東南アジアなど熱帯に生息するカイガラムシでラック色素の元になる。

虫と植物による奇跡の色がコチニール赤。
朱が古代人にとって生の色、不死の色と考えられたのには理由があったはずだ。

風がキーワードになりそうだ。
須もシュと発音する。スサノオの須である。

伊邪那岐の鼻から生まれたスサノオは風を象徴しているとも言われる。

風による循環。絶えることなく吹く風。

コチニールカイガラムシは南米に生息している。
本来なら中国にはいない。
日本人のDNA解読によって、中国南部が起源とされるハプログループBは、ハワイを含む太平洋の島々から南米大陸まで、全世界に分布を拡げた開拓精神あふれるグループで、 日本人の約13%が該当しているそうだ。
日本には比較的古い時代に南方からやってきて、縄文人になったと考えられている。

つまり、遥か古代に南米とも交易していた人々がいた。
それをコチニール赤が象徴している。朱の起源。ダーウィンみたい(笑)
朱は風に乗ってやってくる人々から、数万年も前に遠く南米から運ばれてきた。

反対側からやってくるのが朱。
故に朱色があの世からやってくる生命と同一視されたのではないだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?