ギリシャ神話と人体の機能 アルゴナウタイと免疫獲得

アルゴナウタイ

テッサリアのイオールコスの王子イアーソンは、父から王位を奪ったペリアースに王位の返還を求めるが、コルキス(黒海東端の王国。現在のグルジア西部)にあるという黄金の羊の毛皮(金羊毛)を要求される。
イアーソーンは女神アテーナーの助言を受けて、船大工のアルゴスに50の櫂を持つ巨船を建造させ、船名をアルゴスの名から「アルゴー」(「快速」の意)とした。
アテーナーは、ドードーナのオークからものを言う材木をアルゴーの船首につけた。
イアーソーンが船員を募ると、ギリシャ中から勇者たちが集まった。
こうしてアルゴー船に乗り組んだ勇者をアルゴナウテース、総称としてアルゴナウタイという。

結論からいうと、このアルゴナウタイとは人体の免疫獲得システムに他ならない。
コルキスは腸壁、金羊毛は腸内細菌。
腸内細菌叢と抗体と免疫システムの繋がり方を教えてくれている。

まず病気を起こす細菌(ばい菌)やウイルスが身体の中に入ってくると、免疫細胞が反応してこれらの病原微生物をやっつける。
このとき、免疫反応はまず自然免疫、次いで獲得免疫という2段階で働く。
自然免疫は原始的な生物からあるしくみで、これを担うおもな免疫細胞は、好中球やマクロファージといった食細胞(細菌などを食べる細胞)。
自然免疫を担う細胞は、微生物にあって私たちの細胞には無いさまざまな分子を認識する受容体(レセプター)をもっており、これによって微生物に速やかに反応してこれをやっつけようとする。

自然免疫は次に樹状細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化。そして、活性化した樹状細胞が病原微生物を取り込んで消化し、その成分を細胞の表面に出して、T細胞と呼ばれるリンパ球に提示する。
このようにして樹状細胞によって活性化したT細胞が、攻撃すべき物質(抗原)に集中的にピンポイント攻撃をする獲得免疫を担う。

このような「自然免疫 → 樹状細胞 → 獲得免疫」という流れが免疫反応の骨格となる。
したがって、先天性の自然免疫は免疫反応を最上流でコントロールし強い免疫反応を起こす重要なしくみである。

さて、この免疫獲得の仕組みをアルゴナウタイに置き換えてみよう。

アルゴナウタイを募ったのは、イアーソン。
舌咽神経にあたる。
舌咽神経は、扁桃の支配神経である。
扁桃は全身的な免疫機能が未熟な乳児期ぐ らいまでの間で、鼻や口から入ってくる 病原菌をキャッチして退治する、免疫 のバリアーとしての役割があると言われ、 全身の免疫機能が発達してくると徐々に 役割を失う。

イアーソンはアテーナーから助言され船を作る。
アテーナーは、骨・延髄・脊髄・カルシウムの管理者にあたり、骨髄で産生される造血幹細胞も管理。
つまり、自然免疫の土台の好中球なども管理。
船大工アルゴスは、免疫の仕組み。
50の仕組みが存在するのだろう。

この50の仕組みが身体の中で微生物と戦う勇者となる。

アテーナーからもらうドードーナのオークとは、抗原を感知するシステム。
おそらく皮膚や鼻や口の粘膜に抗原が触れた時、常在菌(皮膚や粘膜表面にいる細菌)が反応して細胞に存在するカルシウム(オーク樫)が動いて感知するのではなかろうか。
つまり身体は体表面に生息する常在菌と上手くコンタクトを取りあっているのだろう。

50人の勇者をあげるときりがないが有名なのは
ヘラクレス、テセウス、カストル、ポルックスなど。

テセウスはレニン。
レニンとは、腎臓の糸球体でつくられるタンパク質分解酵素の一種。血圧の調整に働く。

ヘラクレスはDNAシステム。
勇者ヘラクレスの冒険の物語は遺伝子情報システムの獲得の物語となっている。

カストル・ポルックスは双子座で有名だが、ゼウスの子ポルックス、スパルタ王の子カストルと父親は違う。
スパルタは膵臓にあたる。
膵臓の働きには、食べ物の中のタンパク質を溶かす「膵液」という消化液を作って膵管から十二指腸に出す「外分泌機能」と、血糖や消化液の量を調節するホルモン(インスリン、グルカゴン、ガストリンなど)を作って血液に出す「内分泌機能」がある。
ゼウスの子は内分泌系、スパルタ王の子は外分泌系となっている。

詳しく説明していたら、本一冊分になるので端折る。

つまり、この50人の勇者は抗原と戦う人体の機能にあたる。

金羊毛獲得に一番貢献するのがコルキス王の娘メーディア。
メーディアは、迷走神経にあたる。
迷走神経は、脳から末梢器官へ情報伝達する下行性の神経と、末梢器官から脳へ伝達する上行性の神経に大別される。
下行性の神経は、身体活動を鎮静化する方向に働く副交感神経によって主に構成され、脳からの情報伝達によりこの神経が活性化されると、血圧が低下したり、消化管運動が促進されたりする。

空腹状態や炎症といった各器官で知覚される情報は、上行性の迷走神経を介して脳に伝達される。

イアーソンとメーディアは結婚するのだか
舌咽神経と迷走神経は並走している。
メーディアがイアーソンに恋するよう画策したのは松果体ヘーラーと性腺刺激ホルモン(終神経)アフロディーテ。
エロース(鉄分)の恋の矢でメーディアの心を貫いた。

舌咽神経は舌の後方で味覚(旨味)を感知している。
迷走神経も咽頭付近の味覚を知覚する。
味覚は嗅覚と密接に結びつく。
嗅覚は嗅球と繋がり終神経と関わる。
乳児期から後天的な免疫を獲得していく為に、味覚と嗅覚が重要な役割をもつと推測する。

話は逸れるが、睡眠と松果体の関係を考えると
松果体は太陽の光に反応して目覚めると言われるがその逆であろう。
松果体は太陽の光を嫌い、太陽が昇ると眠りにつき、沈むと活性化する。
だから脳の奥深くに入りこんだ。
松果体が本来感知しているのは、星の光だろう。
それは嗅球(匂い)とも深く関係しているようだ。
かつて光(色)は嗅覚(終神経)で認識されていたのではなかろうか

メーディアとイアーソンとアルゴナウタイ。
迷走神経と舌咽神経は協力し合いながら後天性免疫システムを先導していく役割を担う。
この物語は複雑な免疫獲得の重要な部分が味覚、咽頭刺激と常在菌、腸内細菌にあると伝えているのではないだろうか。つまり粘膜の線毛に生息する細菌達である。









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