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2021年の100冊 #6 「嫌われる勇気」(岸見一郎)

2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。

6冊目はこちら。数年越しの積読を3時間で解消。

文章は平易だけど内容はむずい。何度か読み直してそのたびに腑に落ちていく、そういうタイプの本な気がした。

対話形式で進む理由を考えた

この本を数年積読にしていたのには理由がある。それは、この本がずっと哲学者と青年の対話形式で進むものだからだ。なんか読みづらい、諭されている気がする、それでしばらく遠ざかっていたのだ。

だけど読んだ今、対談形式が選ばれた理由がなんとなくわかる。ひとつは、理解の難しいアドラー心理学を易しくし広く理解されるために有効な手段だったということだ。

ファシリテーションの基礎に、聴き手に寄り添うというものがある。一般的には理解され難い理論が展開されるとき、そこで持たれそうな疑問を先回りしてファシリテーターが聞くことで、聴き手の共感を得、聴き手の聞きたい話が聞けるのだ。ここでは青年が、ファシリテーターの役割を果たしている。(余談だけど、『ハリー・ポッター』のハーマイオニーもこの役割を果たしていると言われている。)

2つ目は後書きに書いてある。ギリシャ哲学者のソクラテスは著述を残しておらず、弟子のプラトンなどがその思想を著作に残した。「アドラーのプラトンになりたい」と言う筆者に、編集者が「僕が先生のプラトンになります」と言って対話を重ね出来たのがこの本なのだ。なんかいい。

こっからは、本を人に貸したので手元にないまま15分書く。何も書けなかったらアドラー先生もそれまで、ということだけど自分の脳みそを少し信じたい。

学んだ考え方

印象に残った思想は2つ。「目的論」と「選択理論」だ。

シンプルにするためにわざわざ難しそうな言葉で記したけれど、それぞれこういう意味だ。

目的論:人は必ず自分の目的に沿った行動をとっている。
選択理論:思考や心身の苦楽は、自分が「選んだ」結果である。

より身近な例でいうと、学校に行きたくないからお腹が痛くなる、失敗しなくて済むようにやらない理由を並べている、傷つきたくないから不幸せな道を選んでいる、など。

※ニュアンスなので正確ではありません

「目的論」の反対は「因果論」で、「〇〇が起こったから私は〇〇という問題を抱えている」というもの。
例えば「両親の仲が悪かったから私は結婚できないのだ/引きこもっているのだ」など。この考え方のほうが楽で傷つかないが、アドラー心理学ではこれを正当化としか考えず、自分の心を守るため、傷つきたくないために無意識に”使っている”と考えている。(キビシイ)

この辺の考え方が、「嫌われる勇気」そのものよりも印象に残った。
「人生は自分の目的のために、自分が選んだ結果である」と考えたほうが、人生は自分でコントロールできる、幸せになることを選ぶことができる、と希望を持てるからかもしれない。

「自分のために生きよ」と「他者貢献せよ」は矛盾しない

じゃあメインメッセージは自分にどう残ったか。

「嫌われる勇気」という言葉を解釈するに、「他人のモノサシではなく、自分の人生を生きよ」ということだ。これが本書の一番のメッセージな気がする。

その「自分」がどういうときに幸福を感じるかというと、アドラー心理学では「他者に貢献しているとき」なのだそうだ。
だから「他者貢献」も結局は「自分の幸福のため」となる。

「自分のために生きよ」と「他者貢献せよ」的なメッセージはどちらも本書に書いてある。でもどちらも「自分中心で生きよ」という意味ではないし、「自分中心で生きよ」「他人中心で生きよ」と矛盾するものでもない。

自分の人生を生きよ、他人に貢献せよ。

人生を「プロセスと考えること」と「点と考えること」は矛盾しない

人生に決まった「ゴール」はない。人生はプロセスである。

「嫌われる勇気」(もしくはアドラー心理学)では人生を「点」と考え、非連続な刹那と呼んでいる。そんなことどこにも書いてはいなかったけど、つまりそのときそのときのベストを尽くせと捉えた。

過去のせいで今の結果があると考えるのではなく、未来のための今を生きるのではなく、「全力の今」が点になって繋がっているだけと考えるのだ。

先日読んだ「スタンフォード式 人生キャリアデザイン講座」では、人生をプロセスと考えるべきと書かれていた。これは「線的」ではないのか?

ここでのポイントは、どちらも 人生に決まった「ゴール」はないことだと解釈した。「これを目指せばあとは人生オールオッケー」と結論づけず、非連続的な「今ここ」をアップデートし続けるのだ。

「将来の目標を立てること」「未来は”今”の積み重ねである」ともこれは矛盾しないのかちょっと悩んだけれど、「将来これを達成するための今」ではなく、人生は「今のベスト」を更新し続けた瞬間、瞬間でしかないということみたい。うーん、ちょっとむずかしい。

さいごに

やっぱり解釈して組み立て直すと難解だし、カギカッコも多いし、多分流し読みだと理解できない。だからやっぱり、内容はもちろんだけど、名著と言われる所以のひとつは平易な対話形式で書かれていることに帰着するのだと思う。

今日かかった時間は60分です。


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