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黄エビネが咲く庭で

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このマガジンは、医療の小説です。 医療・製薬・ITなどのビジネスを手掛けてきた私、武知志英が、日本の医療の質を高め、日本に住む人たちが安心して生きていけるようにする処方箋を、実際…
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#医療データ分析

黄エビネが咲く庭で (第一章 日本の医療をITで変革する)

黄エビネが咲く庭で (第一章 日本の医療をITで変革する)

あらすじ

 日本有数のIT企業の吉田社長と社員たちが、同社の社員の母の死をきっかけに『日本の医療の質の向上』にチャレンジする。社員たちは日本の医療のシステム、データなどを調査し、日本の医療のデータやその活用、システムなどにさまざまな課題があることを明らかにした。
 その頃、日本の各省庁も日本の人口減少等への危機感から、医療に一層関わっていた。吉田社長は、奇しくも社員の人脈で省庁との繋がりを得て、

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黄エビネが咲く庭で (第二十章 SHIN-KNOWの威力)

黄エビネが咲く庭で (第二十章 SHIN-KNOWの威力)

第二十章 SHIN-KNOWの威力

 第3回医療DX勉強会が始まった。
 井出が今回も会の進行を担当した。
「それでは皆様お揃いになりましたので、第3回医療DX勉強会を開催いたします。まずは本日のアジェンダの確認から・・・」
 井出は、アジェンダに従って粛々と勉強会を進行した。

 第3回の勉強会では、電子カルテデータやレセプトデータ、ナショナルデータベース、処方箋データ、最近のウェアラブルデバ

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黄エビネが咲く庭で (第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会)

黄エビネが咲く庭で (第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会)

第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会

SHINーKNOW(シンノウ)、誕生

 インフィニティヴァリューのメンバーは全員、第3回医療DX勉強会に向けて作業を急ピッチで進めていた。

 彼らは松坂からの提案に応えるべく、インフィニティヴァリューのBIツールにさらに詳細な解析・統計処理・将来の予測などの新機能を開発し、テストし、実装した。
 新しいこのツールは、従来のBIツールに増して、はるかに高

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黄エビネが咲く庭で (第十八章 電光石火)

黄エビネが咲く庭で (第十八章 電光石火)

第十八章 電光石火

第2回医療DX勉強会 開催 

 第2回医療DX勉強会が開催された。
 第2回から、デジタル庁の井出が部下の崎本を勉強会の管理運営の一員として参加させた。

 また、インフィニティヴァリューの吉田は、蒼生を参加させた。
 蒼生は、彼の母を亡くした経緯と、それを通じて医療におけるデータの重要性を医療の消費者の立場から勉強会で発言することになっていた。

 勉強会の冒頭、崎本と蒼

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黄エビネが咲く庭で (第十七章 錯綜する思惑)

黄エビネが咲く庭で (第十七章 錯綜する思惑)

第十七章 錯綜する思惑

 吉田たちは、松坂の仲介で、POC(Proof of Concept:概念実証)としてではあるものの、厚生労働省のNDB(ナショナル・データベース)にアクセス可能になり、レセプトデータを日本全国の規模で分析できるようになった。
 その分析結果は随時厚生労働省に共有され、同省内の各会議体での議論に活用された。

 吉田のインフィニティヴァリューのBIツールは、厚生労働省の中

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黄エビネが咲く庭で (第十五章 吉田たちに差し込む一筋の光明)

黄エビネが咲く庭で (第十五章 吉田たちに差し込む一筋の光明)

第十五章 吉田たちに差し込む一筋の光明

 井出がデジタル庁長官の濱田に対して医療DX勉強会のアジェンダの案を見せながら、勉強会の方向性や議論の進め方などを話し合っている間、蒼生たちはレセプトデータの活用についての議論を深めていた。
 
 蒼井たちはレセプトデータを扱っている社会保険や国民保険の担当者にコンタクトし、アポイントをもらった。そして、その担当者にレセプトデータがどのように活用されている

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