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黄エビネが咲く庭で

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このマガジンは、医療の小説です。 医療・製薬・ITなどのビジネスを手掛けてきた私、武知志英が、日本の医療の質を高め、日本に住む人たちが安心して生きていけるようにする処方箋を、実際…
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2024年7月の記事一覧

黄エビネが咲く庭で (第二十一章 五月の空) 

黄エビネが咲く庭で (第二十一章 五月の空) 

第二十一章 五月の空

『医療・介護DX推進会議』の発足に向けて

 吉田たち五人が『医療・介護・福祉DX推進会議』の発足に向けた話し合いをしていた頃、四大臣もこの推進会議をどのように推し進めていくかについて話し合っていた。
 ただし、彼らの論点は、いかにして『医療・介護・福祉DX推進会議』を自分たちの手柄とし、次の内閣改造や選挙で自分たちに有利になるように仕向けるかであった。
 
 厚生労働大臣

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黄エビネが咲く庭で (第二十章 SHIN-KNOWの威力)

黄エビネが咲く庭で (第二十章 SHIN-KNOWの威力)

第二十章 SHIN-KNOWの威力

 第3回医療DX勉強会が始まった。
 井出が今回も会の進行を担当した。
「それでは皆様お揃いになりましたので、第3回医療DX勉強会を開催いたします。まずは本日のアジェンダの確認から・・・」
 井出は、アジェンダに従って粛々と勉強会を進行した。

 第3回の勉強会では、電子カルテデータやレセプトデータ、ナショナルデータベース、処方箋データ、最近のウェアラブルデバ

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黄エビネが咲く庭で (第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会)

黄エビネが咲く庭で (第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会)

第十九章 分水嶺の第3回医療DX勉強会

SHINーKNOW(シンノウ)、誕生

 インフィニティヴァリューのメンバーは全員、第3回医療DX勉強会に向けて作業を急ピッチで進めていた。

 彼らは松坂からの提案に応えるべく、インフィニティヴァリューのBIツールにさらに詳細な解析・統計処理・将来の予測などの新機能を開発し、テストし、実装した。
 新しいこのツールは、従来のBIツールに増して、はるかに高

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黄エビネが咲く庭で (第十八章 電光石火)

黄エビネが咲く庭で (第十八章 電光石火)

第十八章 電光石火

第2回医療DX勉強会 開催 

 第2回医療DX勉強会が開催された。
 第2回から、デジタル庁の井出が部下の崎本を勉強会の管理運営の一員として参加させた。

 また、インフィニティヴァリューの吉田は、蒼生を参加させた。
 蒼生は、彼の母を亡くした経緯と、それを通じて医療におけるデータの重要性を医療の消費者の立場から勉強会で発言することになっていた。

 勉強会の冒頭、崎本と蒼

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黄エビネが咲く庭で (第十六章 吉田と松坂の核心と革新と確信)

黄エビネが咲く庭で (第十六章 吉田と松坂の核心と革新と確信)

黄エビネが咲く庭で (第十六章 吉田と松坂の核心と革新と確信)

医療DX勉強会、開催される

 第1回医療DX勉強会が開催された。
 この勉強会で初めて、日本の医療のDXに関わる厚生労働省、デジタル庁、財務省、経済産業省、吉田らを中心とした有識者数名が顔を合わせた。
 
 吉田はこの時、全員の挨拶と名刺交換時に、井出とも挨拶した。吉田は、井出がデジタル庁の名刺を持っているものの、井出が本来エスタ

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