【エッセイ】いろんな町の空気を吸い込んで
いろんな町の空気を吸い込んで
いろんな町のいろんな人たちと出会い
いろんな話に耳を傾ける
そこにはたくさんのストーリーがあって
その人の今まで生きてきた人生のシーンが
いろんな場所に息づいている
ある地方の町の再開発プロジェクトで
数年前まで動物園があった場所を訪れた
すごく広い敷地は人も動物もいなくなってから放置されてきたから
だんだん自然の環境に戻ってきていた
所々にいろんなオブジェや遊具が草木に混じって埋もれていたり
小さい頃からこの辺りで育った方々と一緒に歩いていると
「懐かしい~」
「ここで家族で良く遊んだなぁ」
「遠足で定番の場所だ」
みんなそれぞれの思い出を声に出していて
僕ははじめてきているのに
なんだかあったかい気持ちが沸いてきた
小さい頃、僕が家族で出かけた場所はどこだったろう──
大きな公園の芝生の丘があるところ
ダンボールをソリ代わりにして
丘の上から勢いよく滑るのが楽しくて
何度も何度も兄弟で取り合いしながら遊んでいた──
時間はあっという間にたって───
夕暮れ前にはうちに帰らないといけない
おじいちゃんおばあちゃんが待っているし
家族そろっていつものように
食卓を囲まないから何となく落ち着かない
帰りの車で名残惜しい気持ちで呟く
「またあの芝生のとこ絶対行きたいわ~」
きっとしばらくは家族そろって出かけることはないこともわかっているから
少し遠慮して話していた
さっきまで行っていた場所が妙に懐かしく感じた
いろんな町の空気を吸い込んで
いろんな町のいろんな人たちと出会い
いろんな話に耳を傾ける
そこにはたくさんのストーリーがあって
その人の今まで生きてきた人生のシーンが
いろんな場所に息づいている
そんな場所をたくさん見つけて
未来に向かって豊かな暮らしをつくる仕事を
僕は今している。
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