見出し画像

絵葉書を元に制作した名古屋帯が激賞された話

実際に観ないと出来ない、ということは必ずしも無いのが創作の面白いところで・・・

以前、ヴェネツィアの風景を名古屋帯の文様にして制作して欲しいと呉服屋さんから依頼があり、私はそれをお店のご主人から預かった、印刷の色がおかしい、いかにも俗な感じの絵葉書を元に、いろいろアレンジして制作しました。

展示会でその名古屋帯をご覧になり、非常に気に入り、ご購入下さったお客さまが

「ああ!これは本当にヴェネツィア!私はベネツィアが大好きで何度も行っているのよ!今年も行ったの。あなたも、これだけのものをお作りになるのだから現地に何度も行っているのよね?本当に素敵なところよねえ!」

とおっしゃる。

私は「え、いや、私はイタリア自体、行ったことがありません・・・あれは絵葉書をアレンジしてつくったもので・・(ごにょごにょ・・)」

と小さい声で話し、フェイドアウトしつつその場を適当に濁して離れました。笑

逆に、実際に何度もヴェネツィアに行っている自称ベネツィア大好き作家さんの作品がたいしたこと無い事は多々ありますし、私自身が実際にベネツィアに行って写真を撮ったり取材をして作品制作しても、絵葉書を元にしたもの以上のものが作れるとも限らないもので・・・

全く、創作は不思議なものだよなあ、と思うのであります。

もちろん、写真一枚から、物凄く深く読み取る努力をし、制作には全力を尽くしますけどね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?