男着物は気概で着る
男着物は腹が出ている方が似合う、体型が緩んでいるぐらいの方が板につく、などと言って男着物を勧める人がありますが、私は個人的にその勧め方が嫌いです。
私は古の価値観に生きる男ですので
「男着物は気概で着る」
じゃなくてどうすると思うからです。
ちなみに、今話題にしているのは「男着物」限定の話であります。
実際、外国人の男性格闘家が男着物を着ると格好良いですよね。勝負で鍛え上げられた心身だからです。顔は日本人よりも濃く手足が長くても、普通の日本人よりも似合う。この事実で「ハラが出ている方が似合う」「着物は日本人の顔つきや体型に最も良く似合う」なんて全く嘘だ、という事が分かります。
元々体質として痩せている、太っている、背が高い、低い、というのは体の個性ですからそういう話ではなく、だらしなく弛んで衰えた身体の方が似合う、みたいなニュアンスで男着物を説明し、実際に業界人自身がそんな体型と品の無い身のこなしでお客さまへ薦めるのはいったいどうことだよ・・と。(自宅でのくつろぎ着としての和装はまた違いますよ)
洋服の世界なら業界人は男女共に体型に気をつけ、自分の着姿や身のこなしがお客様への見本になっていなければならない、という自覚を持っているのに…
和装業界がそのような変わった価値観?を主張したら、和装ってだらしない男にこそ似合う衣服なんですか?変な衣服ですねえ…となります。それではむしろ悪い印象ばかり振りまいてる事になるのではないでしょうか。
重ねて良いますが、年齢や体質による自然な太り、痩せ、身体のたたずまいは、そこに「その人らしさ」があって内面から染み出る個性があればそれは魅力的なキャラクターです。ようは着る人間の気概が問題なのだという話です。
なので、呉服業界の人々の男着物を薦める際の宣伝文句の多くは「男の和装サゲ」にしか聞こえません。
また、メディアで「粋」と紹介されている男着物の着姿が私にはなんだか良く分かりません。ナヨナヨヌメヌメヒョロヒョロしていて気持ち悪い事が多い…(※個人の感想です)
とにかく、男着物は気概のある男が着れば、カッコイイのです。
男着物は、男性の欠点を隠してくれるような衣服ではなく、むしろその人の本質的な部分を表出させてしまう怖い衣服だと私は思っています。
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