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お客さまは裏側も観ておりますし

分野を問わず色々な高級店は、そこの従業員やオーナーのオフの姿をお客さまにチェックされているもので、例えば休憩の時や勤務が終わってお店から出た際に、チンピラみたいな歩き方で歩きタバコしている姿や、お店の裏側で若いスタッフにイジメまがいのイジリをしているのを見られてしまったりすると「あー、お店ではそれなりに紳士的にしているけども普段はああなのね」と失望されたりニヤニヤされたりするものです・・・現代では誰でもそういう風に観ますよね。

これが学校の教師であっても、飛行機の客室乗務員さんであっても、高級品を扱う職人であっても(その他色々)同じような感じではないでしょうか。それは「その職業のブランド価値で成り立っている」からです。

念の為記しておきますが、これは職業差別などではなく、その業種のブランド価値を利用して仕事をしているのなら、そのブランド価値に気を使わないと自分の立場が悪くなりやすい時代であるという事です。

高級品を扱う職人さんの場合「ウチは代々やっている老舗で自分は腕の良い職人である。高級品ばかり扱っているし、師匠でもある親からしっかりと教育を受けているから社会常識があり教養もあり業界事情に詳しい」と日常的に自称している人が、例えばSNSやブロクなどで時代遅れの偏った知識や情報で他人を罵倒していたり、汚い言葉で不平不満をぶちまけているのをお客さまが観てしまえば、そこに正論が含まれていたとしても「え?私の持っているものを加工したのはこの職人さんなの?知りたく無かった・・・」となるのは当然ですよね。

ですので、今までは知り合いや取引先の人と何も考えずに話していた世間話やグチやボヤキや噂話を、現在は簡単にSNSに載せてしまえる時代ですから、業界人同士の世間話のノリでSNS運用をするのは危険なわけです。(意図的に際どい情報をギリギリの表現でNSNに流し、自分の望む流れを作る高度な技もありますが)

自分が掲載しなくても知り合いが自分の普段の様子を写真や文章で上げてしまったり、自分が他人の記事へのコメントを書く際にその内容が悪いと「素の悪い部分」がバレてしまったり・・・

そんなの関係ねえ!俺は俺の自由にやるさ!そんなの俺の勝手だろ!これが俺のやり方だ!と、あえて「荒れキャラ」にする方向性もあって、それゆえに人気の人もおりますが、それには非常に高い技術と知識と知能が必要で、実際には誰にでも出来る事ではありません。

直接会ってみると、それなりに丁寧な人であったとしてもSNSなどの言動が乱暴だったり下品だったり、書いてある内容が悪かったりすると、本人的には「日常の俺は腰が低く丁寧なんだからそっちが本当の姿だと思ってくれるだろう」と思っていても、相手からは「SNSでの言動が本当の姿」だと思われるのは避けられない事です。仮に内容的には良い事を書いていたとしても、書き方が下品だったり攻撃的だったりすれば誰でも不快感の方が先に立ち、その真意を読み取る気は削がれます。(上記のように“荒れキャラ”を成立させている人は別ですが)

誰かにプレゼントを渡す際に、包み紙をわざわざ泥だらけに汚して渡して、不快に思った相手から受け取りを拒否された際に「中身は本当に良いものなのに・・・アイツは見かけに騙される本質が分からない奴だ」と相手に文句を言うのは馬鹿げていますよね?それと同じことです。

和装業界を例にすると・・・

染や織作品の作者なら「私はあんな人の作品を気に入っていたんだ・・・この前買った作品、気に入っていたんだけどな・・・もう見るのもイヤだな・・・」とか、仕立などなら「私がずっと憧れていてやっと手に入れた着物を、あんな人が縫ったんだ・・・袖を通すのがイヤになった・・」と思われてしまうわけです。私が知らないだけで、私自身がそういう問題を起こしているかも知れません。本当に怖いですね。間接的にそういう事が起こり、それに私が対処した事は何度もあります。(職人さん、小売店さん、ギャラリーさんなどなど)

ちなみに私の経験では、そういう職人さんや小売店さんへのクレームを私がお客さまから伺って、その方々へ、その事を知らせたとしも逆ギレしたり開き直ったりするだけで改める事は99%ありませんので、現在はこちらへお客さまからクレームが来てもその手の方々へは伝えません。

何にしても普通に言って自分がお客さま側に回れば、やはり「そういう人が手掛けた物を所有したり使用したりするのは抵抗があるな・・・」となるのではないでしょうか。

飲食店での事に例えれば、

いくら腕の良い料理人の美味しい料理でも、カウンター内でスタッフを口汚く罵倒しながら作った料理を、その罵倒を聞きながら食べたいと思わないですよね。その罵倒に弟子にとっての正しい教えが含まれていたとしても、望まず客席で聞かされているお客さまからすれば、ただただ不快で食事が不味くなります。それと同じ事です。

昔はむしろそういう親方こそが職人らしい職人であり、ちょっと偏屈だけども職人さんってそういうものだから・・・というぐらいに受け止めてもらえ、マイナス評価にはならなかったものですが、今は価値観が代わりました。

芸能人なんかも、昔と違って今は腰の低い、良い人が多いですしね。

・・・将来の夫や妻を決めるのに、昔から酒の飲み方・車の運転・飲食店での店員さんへの態度などはチェックされましたが、SNS(←New!)も厳しくチェックされる時代になりましたしね。


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