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止められない世界、永遠の先へー「美しい彼」Season2 EP2について

本日、清居の常夜鍋は国宝に認定されました。

『美しい彼』Season2も折り返し地点に突入した。脚本を担当した坪田文先生が、清居強火担に旦那様に「うちの旦那、第2話で爆発しないか心配だわ」とつぶやいていたが、その心配は現実のものになったことであろう。

というか、世界中の清居強火担が第2話で爆発した。少なくとも私の語彙力は木っ端微塵こっぱみじんになった。死んでしまうではないか、初っ端から清居がかわいいだなんて……聞いてないぞ!

おそらく、起承転結の「承」にあたるであろう今回のエピソード。多分これからを決める重要な話。まあ、『美しい彼』は本編から番外編まで、すべからく大切なわけだが。

うん、どうにも今日は調子が悪い。本当に清居がかわいくて語彙力が死んだ。それでも、今日もまた語ります。例のごとく、ここからネタバレになりますのでご注意を。

こちらは前回の記事です、お暇な時に是非とも!

何かにつけて思い出す、金木犀の香り

出典:「美しい彼」公式サイト

平良家の縁側にはたくさんの思い出が詰まっている。夜の花火、ジンジャーエール、秋のひととき。公式ビジュアルブックに掲載されている番外小説「金木犀きんもくせい」では、高校時代の縁側での一幕が綴られている。(smash.で映像化されているので、是非ともご覧ください。最高なんで)

甘くて酸っぱい花の匂い。これは金木犀の香りだと、清居に教えたのは平良だ。金木犀の匂いを嗅ぐたびに、もどかしかった蜜月のひとときを清居は思い出しているのだろうか。エモすぎる、エモの供給過多で中毒死してしまうそうだ。

14番目の月、あの時に撮られた写真だということを、清居は知らない。人間の思考というは私たちが想像するよりも早く流れ、あっという間に消えてしまうらしい。想いは形にしなければ……存在しないのと同じだ。

平良はファインダー越しに、この瞬間が永遠になればいいと願った。清居は心の奥底で、平良が自分に永遠をくれることを求めた。これを尊いと言わずして、何と言う。

余談なのだが、縁側の清居……にゃんこみたいに可愛い過ぎると思ったのは、私だけではないはず。平良の膝の上で身を縮こませているところとか、突然の大声にビクッとしているところとか。置いてかれるのは仕方がないって思いながらも、しょんぼりしてクッションをギュっとするとことか……!

我が家に金木犀のフレグランスが届いたら、何かにつけてあの時の、甘くて酸っぱい二人のやり取りを思い出すことになるのだろう。

変わらないけど、変わろうとする平良

出典:「美しい彼」公式Instagram

場所は変わって写真部の部室、平良がバイトの面接を受けたことが明かされる。後輩部員が少しだけ驚いていた様子を見るに、周りからしても大きな一歩だ。

たぶん清居のため。恋人として傍に居るためにというよりが、王に側に仕える身として、少しでもマシになれるようにという理由が強そうだが。だが現実は厳しい、なかなかうまくいかない様子を察して『ヤング・フォトグラフィカ』への応募を進める小山。いい奴だ、私もこんな友達がほしい。

実は小山はかつて――いや、おそらく今も平良のことが好きなのだろうが、友達の距離感を保っているのが好印象だ。小説「憎らしい彼」だと、平良に対する言葉にも少しとげがあったりする。演じる高山洸くんのキャラクターなのかもしれない。

清居が舞台にこだわる理由

出典:「美しい彼」公式Instagram

アイドル、お笑い芸人、スポーツ選手……夢を実現するために数ある選択肢の中で、彼が目指したのは俳優になることだった。特に舞台に対する情熱は、並大抵のものではない。清居はなぜ舞台にこだわるのか、その理由は事務所の看板女優、安奈との会話で示唆されている。

「見るぞ!ていう気合いの籠った大量の視線が、リアルタイムで自分に突き刺さる。恐怖と紙一重の興奮というか」

「美しい彼2」第2話より抜粋

幼少期の体験から、誰かに求められたいと渇望してきた清居らしい言葉だ。これはあくまで個人的見解なのだが、清居は平良に出会ったことで、俳優になる道を選んだような気がしてならない。

ステージで何百もの瞳に見つめられても、
あの瞳には敵わない。

「美しい彼」第5話より抜粋

恐怖と紙一重の熱のこもった視線とは、
まさしく平良の眼差まなざしそのものではなかろうか。

幾千もの眼差しの中、たった一人の視線をより近くで感じるために、舞台に立ちたいと願う。それが、清居の夢であり、生きる世界である。そう考えると、何ともロマンチックじゃあないか。

王の葛藤とライバルからの苦言

出典:「美しい彼」公式Instagram

「好きな人」ではなく「好きな男」って表現するの、とても良い!

おっと、心の声が先走ってしまった。気を取り直して次に進むとしよう。大切な人が家で自分を待っていて、自分のために料理を作ってくれる。そんな日々がずっと続けば良い。同感だ清居、私もずっと、幸せなひらきよを見ていたい。

でも今のままじゃいけないことに、清居は気づいている。勇気を出して平良に自分からキスをしようとしたのに、小山からの電話が面白くなくて、アヒルみたいな顔をしてねていてもだ。

兄の荷物を取りに来た小山、清居との間に張りつめた空気が立ち込める。私は声を大にして言いたい、このシーンの小山がとてつもなく好きであると。バランスが悪いという小山の苦言は至極全うだし、清居がこのままじゃいけないと思っていることを、的確に打ち抜いているからだ。

ここは意見が別れるところだと思う。でも、ちょっとマウントを取りたいからって、まだ好きな男の……自分だけが知っている好きな食べ物のレシピを教えないと思う。清居が素直にありがとうと言ったのは、予想外だったかもしれないが。

小山はわかっているのだろう、自分では平良の背中を押すことはできないことを。それは清居にしかできないこと。でも恋敵には、自分はいい奴だと思われたくない。そんな清いへの意地と平良への思いがあったら、実に人間らしくて魅力的だなと思う。小山よ、どうか幸せになってくれ。

常夜鍋に込められた本当の気持ち

出典:「美しい彼」公式Instagram

清居の常夜鍋は、神々の美酒の味がする。平良の言葉に間違いはない。ありのままのほうれん草、ほぼ致死量の日本酒、そして清居が丁寧に洗った豚肉でできているのだ。オリンポスの葡萄ぶどうに匹敵するといっても過言ではない。常人なら、一口で天国で旅立つに違いない。

平良、本当に心の底から美味しいって顔してる。
かわいいけど……ちょっと怖い。

でも、それじゃあ駄目なんだ。清居のエプロン姿が愛おし過ぎても、ミトンとお玉が聖火のごとき神々しさを放っていたとしても、およそ料理とは言えない代物に、清居はそんな反応を求めちゃいない。

「俺の男を……石ころって言うな!」

清居が平良自身に放った言葉だ。清居ができないことができるのに、平良は良くも悪くもブレない。ヤング・フォトグラフィカ、就職の面接が怖いこと。それを自分に言わなかったことを清居が問い詰めると、平良はこう答えた。

「……そんな恥ずかしい話、清居にはできないよ」

それは、あんまりじゃないか。一緒に生きるということは、お互いを支え合うということだ。清居だって平良のことを支えたいのに、彼は決してそれを許さない。横暴な石ころに、王はついに啖呵を切る。

「グランプリを取って、プロになれ」

この無謀とも取れる勅命。だが、平良が清居に歩み寄ることを許さないのなら、清居が平良を自分の方に引き込むしかない。酒に酔い、頬を赤く染めて目を潤ませる清居は、本心を語る。

「お前が撮った俺が、一番良い」
「……撮ってくれよ。俺の写真……同じ、世界で」

「美しい彼2」第2話より抜粋

……ああ、最高じゃないか。

自分のために、同じ世界に来てほしいと懇願される。この身の全てをささげたいほど好きな人に、しびれるほど純粋で、甘美なエゴを突き付けられるなんて……こんなの、最高のご褒美以外の何者でない!

やはり平良の背中を押すのは、他の誰でもない、清居にしかできないことであったのだ。

止まらない世界で、永遠を掴むために

出典:「美しい彼」公式twitter

時の流れは残酷だ。入間の口からは、小山の兄が休職したことが明かされた。あいつとは、ずっと舞台を作っていたかったと入間は語った。時間は誰にも止められない。

一緒に居たいなら……前に進むしかない。
2人、一緒に。

『美しい彼』は、ただのテレビドラマではない。平良と清居……いや彼らと私たちの、人生のドキュメンタリーである。




(第3話の感想です)

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