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みんな何食べた?

急に冬になった。季節にグラデーションはほとんど無く、ちょうどいい気温の日はほんの数日。あとは去る季節と来る季節が交代でやってきて、少しずつ入れ替わっていく。

一旦体が冷えると、厚着をしても暖房をいれても温かいものを飲んでも、なかなか温まらない。若い頃は体の芯が熱くて、冬でも布団から足だけ出して寝ていたのに。
 体が冷え切らないように徹底している。入浴剤を入れた風呂につかり、出たらすぐ温かい寝巻きとドテラを羽織る。お腹と肩甲骨の間にカイロを貼って、レンジでチンする湯たんぽも入れる。

体が冷えている、睡眠不足、お腹が空いている、お金の心配がある。この4つを解消しておくだけで、比較的元気に機嫌良く暮らせる。

すっかり出不精になってしまい、わずかな1人の時間も家で小麦粉をこねたり、煮物をしながら、古い映画や料理系ドラマを見ている。美味しいものが出来上がっていく様子を眺めるのは本当に楽しい。

厳密には自給自足ではないし、そこを焦点にみていないが、睡眠導入剤的に、または芳香剤的にB.G.M.に流している。地元を思い出す。うちの畑にも柿の木があって、柿をもぐにはまず山に行き、竹を切って持ち帰る。先を割って柿をもぐ装置を作り、やっと収穫が始まる。1人で暮らし、自分のためだけに作る美味しいもの。手順の美しさが際立つ作品であると思う。

小林聡美が料理をするコンテンツ、絶対観てしまう。漠然とした悩みのある客が来て、「人間そんなもんだろう」みたいな大らかな答えを出し、帰っていく。料理も豪華ではないが、盤石な基礎が垣間見えて安心する。

今、地上波で放送している

家族が喧嘩し、子供だった主人公は「かき揚げののった鍋焼きうどんが食べたい」と言い出す。目眩がするほど行程が多いメニューだ。私は使ったことも無いし、今後も絶対に作らない。多すぎる行程は分担するしか無く、自然と家族の息が合ってくる。
男女関係なく丁寧な家庭料理をする作品、まだ新鮮に嬉しい。私が生まれ育った家にとても似ているし、「悪いことをすると天狗が来るぞ」と脅されて育ったので、子供の頃を思い出す。楽しい幼少期ではなかったが、美しかった風景や母や祖母が料理している姿ばかり思い出す。

きのう何食べた?

現実的な予算からやりくりして1週間の献立のリズムを作るところ、複数メニューを同時進行する手順を説明してくれるところが良い。食器もイイホシユミコなど私の好みと似ているし、プロダクトなので真似しやすい。更にハゲた太った目が悪くなったなど、加齢について明るく取り上げてくれるのもホッとする。


最近1番よく見てるのは、
À Table!(ア・ターブル)〜歴史のレシピを作ってたべる〜

夫婦が趣味として、ダヴィンチやベートーベンが食べていたメニューを作って食べる。当時のことを想像しながら作る。市川実日子と中島歩が夫婦役なのだが、何十年も一緒に暮らしてきたかのような阿吽の作業分担で料理が作られていく。台本なのかアドリブなのかも分からない自然さ。出来上がる料理も、味の想像がつかないものばかりで楽しい。林檎タルトの生地がお米だったり、煮物にドライいちじくを入れたり。

食への好奇心と寛容さは、そのままその人の軽やかさ柔軟さでもあると思う。
私は私の器をどんどん大きくして
何でも受け止めて
綺麗に盛り付けられるように

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