#114 BIGBAS出発・後悔先に立たず・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月10日(土)10日目・・・3
ようやくTimes Squareを出発したBIG BASは、Downtownに向かって走り出した。宿を出てから3時間近く経っていた。
バスは、M&M、One Times Squareの横を通り、Bryant Park、図書館など、有名所を見せながらどんどん進んで行った。
Wsll Street Stationの前を通ったときには、3日前におトイレギリギリで飛び込んだトリニティ教会がドーンと建っていた。
その節はどうも、と思いながら通り、バズはSOHOやチャイナタウン、リトルイタリーを通りながら進んでいく。
ところが、この頃にはもう下車したくなっていた。New Yorkへ来て1週間。散々Manhattan内を歩き回っていたので、行く先々がすでに初めてではなく、見覚えのある風景だったため、感動が小さかったのだ。
しかも、信号ごとに赤で止まり、渋滞でノロノロ運転、おまけにイヤフォンから流れて来る日本語の解説と、バスが走っている場所とが大幅にズレていて、聞いていると何だか心地悪い。
さらに凍り付きそうな寒さで、停留所ごとに乗客は下車して行き、とうとう2階には私1人になった。いつの間にか解説のお兄さんもいなくなり、少し虚しくなった。
ここでサッサと見切りをつけて下車するか、1階の屋内席に移動すればよかったのだが、せっかく来たNew York。今度いつ来られるかわからないし、
考えたくはないが、もう一生来られないかもしれないし、はたまた、来ることができても乗れないかもしれない。そう思うと、席を立てなかったのだ。
ノロノロのイライラと寒さに虚しくなりながら、下車するタイミングを見計らっていた。ところが、バッテリーパークを通り過ぎた頃から、バスは川沿いを走り出した。
キンキンに冷えきった強風が襲ってくる。そして行けども行けどもノロノロで、停留所がない。
そりゃそうだ、こんな何もない川沿いで乗り降りする客などいるとは思えない。
強風をまともに受け息ができず、頬に当たり凍りつきそうで痛い。
身体中の震えが止まらず、座っていることさえできなくなったので立ってみたら、上半身にも強風が当たり、余計に凍えた。仕方なく座ったが、寒さで震えがひどく、もう、風景を楽しむどころではなくなってしまった。
〝お願い!早く停留所に着いてっ!!〟
渋滞でノロノロと進む中、遠くの赤信号が少しずつ少しずつ近づいてくるのを、あと少し、あと少し、と距離を測りながら待った。
風景を楽しむ余裕は全くない。今、その時に凍え震えながら撮った写真を見ても、ほとんど記憶がない。
〝あれぇ~こんなに晴れてたんだ、こんな建物があったんだ、こんな風景だったんだ、私、本当にここに行ったんだよなぁ、ここを通ったんだよなぁ〟
どこで下車したのかも覚えていない。
Times Squareに戻るつもりだったのだが、寒さに耐えきれず途中で下車し、近くのStarbucksに緊急避難した。
あたたかいキャラメルマキアートを流し込んだが、ここまで凍えきってしまっていては、ドリンク1杯では効果はない。
自分でもアホだなぁと思いながら、とてもじゃないが、Uptownルートのバスには乗ることはできないと悟り、Downtownルートの途中で諦めた。
そして後悔した。乗らなければよかった。
見たい所では止まらず、止まるのは赤信号ばかり。自由気ままに歩きたい私には、合わなかった。
シティパスを1つ無駄にしてしまい、もっと早く乗ればよかったと後悔したが、後の祭りだった。
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