#81 初Shake Shack・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月6日(火)6日目・・・3
Grand Central Terminal内探検を始めようと意気込んだが、そろそろお腹が空いてきたので、まずは腹ごしらえから。
お昼どきとあって、飲食店やフードコートには人が押し寄せ、どこも混雑していた。
昨日の聖地での、社長からのアドバイスを思い出した。
「日本とNew Yorkで食べ比べしてみてよ!」
New Yorkには、いきなりステーキ、大戸屋、Shake Shackなど、日本からNew Yorkへ、New Yorkから日本へ進出している飲食店がいくつかある。
すると、Grand Central Terminalの中に、Shake Shackを見つけた。
実は、私はこの手のファストフードは、日本にいてもほとんど食べない。
超薄味好みなので、味付けが濃すぎて手が出ないのだ。
数年に1~2度ほど、無性に食べたくなって入店する程度。
しかも、Grand Central Terminal内を見て回っていて、まず値段が高いことに驚き、仮に入ったとしても、英語が話せなければメニューも読めない。
当然、注文ができないため、入れなかった。けれど、ファストフードなら勇気を出せば入れそうだった。
Shake Shackもお昼時だからだろう、人でごった返しており、店内はほぼ満席。さらに、座席間が狭くギュウギュウ詰めだった。けれど、所々、ポツン、ポツン、と空いていた。
コンコースの通路と店内との間の壁がなく、開放的なことも安心だったので、勇気を出して入ってみることにした。日本でも食べたことがないShake Shackのハンバーガーを、New Yorkで初めて食べることにしたのだ。New Yorkにきて、初めての飲食店入店で、ドッキドキである。
日本同様、先に注文して支払いを済ませ、カウンターから受け取る方式だった。
レジ前の列に並ぶ。列は2列になっており、1列はキャッシュカード支払い、もう1つは現金支払いの長い列だった。
私はキャッシュカードではなくデビットカードしか持っていない。
使えないことはないのだが、カード払いは不慣れで、極力現金で支払いたかったため、長い方の列に並んだ。
New Yorkの飲食店での支払いは、カードしかできないと思っていたので、
現金で支払えることはありがたかった。そして長い列に並んだもう1つ理由は、メニューが決められなくて困っていたからだった。
日本では、並んでいると、店員さんが親切にメニューを渡してくれるので、並んでいる間に選んで決めることができる。でも、ここはNew York。そんな親切もサービスはない。しかも壁に貼ってあるメニューが読めない。
さらに、日本でも入店したことがないので、どんなメニューがあるか、さっぱりわからない。とりあえず並びながら考えようと思ったのだ。
マクドナルドのフィレオフィッシュか、モスバーガーの海鮮ライスバーガーのようなものが食べたいなぁ、でも、そんなものあるのかなぁ、と思いながら、壁のメニュー表に目をやるも、英語がさっぱりわからない。
さあ、どうしよう。
すると、たまたま並んだ壁側に、A1サイズ(新聞見開き)ほどの電光掲示板があり、次々と画面が変わるメニューが、写真付きで表示されていた。
と、と、とりあえずこれにしよう。選んだメニューはホットチキン(ナンチャラカンチャラ)バーガーに、クッキークリーム味のドリンク。
特に食べたかったわけではなく、たまたま読み取れたのだった。
チキンもクッキークリームも好きだし、温かいバーガーが食べたかったのだ。そこに冷たいクッキークリームドリンクで、ちょうどいいと思ったのだった。
列に並びながら心の中で注文のシュミレーションをする。〝ホットチキンバーガーアンドドリンクイズクッキークリーム、ホットチキンバーガーアンドドリンクイズクッキークリーム、ホットチキンバーガーアンドドリンクイズクッキークリーム、~~~〟何度も何度も心の中で言ってみる。
そしていよいよ私の番が来た! レジのお姉さんが、
「cache?」
と聞いてきた。
「Yes」
と答える。これくらいのやりとりなら大丈夫。続いて何か言われたがわからない。ただ、注文を取ってくれていることは分かったので、列に並びながらずっと反復練習していたメニューを伝えた。
「ホット、チキン、バーガー、アン~ドゥ、ドリンク、イーズ、クッキークリーム」
できないながらも巻き舌風オーダーをゆっくり告げると、おねえさんは頷きながらレジのボタンをポンポンッと押している。ひゃぁ~通じた! 私の注文が通じた。嬉しさと驚きでワナワナしていると、
「your name?」
と言われた。は? なぜ? どうして名前を聞くの? 一瞬戸惑った。そしてすぐに思い出した。
New Yorkの情報収集中に、どこかの記事で、<注文したら受け取る時のために名前を言う。ただし本名ではなくてもよく、わかりやすく呼びやすいニックネームでよい>と読んだことを。そして張り切って答える。
「ゆっきーっ!!!!!」
そしてこれもお姉さんにはちゃんと通じたのだ。緊張と嬉しさでドキドキした。紙幣を渡しお釣りを受け取ると、前方のカウンター前へと移動した。
15人以上が待っていたが、特に急いでいなかったし、みんながどんな貰い方をするのか興味があり、ゆっくりと観察していた。
出来上がるごとにカウンターの中から店員が大声で名前を呼び、呼ばれた人がカウンターに行き、受け取っていた。
しばらく待っていると、年配のおじさんがよく通る大きな声で名前を呼んだ。
「ゆっきぃーーーーっ!!!」
おお!私だ!!
初めてのShake Shackでの、初めての注文に、初めての受け取り。
もう心の中はアタフタオドオドドッキドキだったが、それを悟られるのが悔しくて、何気ないふりをしてカウンターに取りに行った。
〝私はね、慣れてるの。どうってことないのよ〟を装って。