#100 Top of the Rockテッペンへ・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月8日(木)8日目・・・4
14:15。それまで14:00で点灯していた赤い数字が14:30に変わり、通路で待っていた人たちがゾロゾロと動きだし、エレベーター前に集まってきた。私もその中に紛れてエレベーターに乗り込んだ。
すると、ほんの数回上っただけで降ろされ、またホールに出た。
ゆるく蛇行しながら延々と通路が続いている。どんどん進んでいくと、あ、おトイレ発見! やはり下で無理に行かなくても、ちゃんとあった。
こんなことなら、地下のショップ巡りをしておくんだったな。
すっきりしたところで仕切り直して、改めてTop of the Rockの小旅行に出る。大きな窓からRadio City Music Hallが目の前に見えた。
なんと、Rockefeller Center&Top of the Rockと Radio Cityは通りを1本挟んだお向かいだった。その位置関係に驚いた。〝なんだぁ、お隣さんだったのか〟
Radio City Music Hallのバックステージツアーは、昼夜や天候に左右されないので、後回しにできる。今は明るいうちにManhattanを上からしっかり見たいので、昼間のTop of the Rock展望台を優先し、その後でRadio City Music Hallのバックステージツアーに行く予定にした。
再び通路を進んでいくと、Top of the Rockの展望台から写したであろう、Manhattanの大きな写真パネルの前で、記念写真が撮れるようになっていたり、Top of the Rockにまつわる写真や資料が展示されていた。
詳細が記載されているのだろうが、読めない。けれど、超高層に渡された鉄骨の上に、11人の労働者風New Yorkerが座っているパネル写真を見た時には、詳細が分からなくても、私の心にはジーンとくる感情があった。
あまりにも有名なその写真は、遠い昔、まだNew Yorkに行くことそのものが、夢のまた夢、現実になんぞ在り得るはずがないと思っていた頃に、恋い焦がれていた時に見た写真だった。
その想いと、今、実際にそのビルの中にいる感覚とが、ぴったりと結びつかないまま、しばらく写真の前で立ち止まって見入ってしまった。
混雑はなく、人の流れもスムーズだった。
スイスイと進むと、再びエレベーターホールに着いた。どうやら、やっとこのエレベーターで展望台に行けるようだ。一見、場所も含めて、ホテルのロビーでエレベーターボーイが案内してくれているような雰囲気だった。誘導されるままに乗り込むと、エレベーターはすごい速さでぐんぐん上って行く。かなりの速さだとしっかり体感できるほど速く、階数を示す赤い数字が、秒より速く変わっていき、耳抜きする間もなく、あっという間に展望台に着いた。
入場規制をしているせいか、混雑はない。
Top of the Rockの室内展望台は、日差しが柔らかい穏やかな午後。
地上68階から見るManhattanは、ごちゃごちゃしていて楽しそうに見えた。
きっと私の思い込みだろう。35年分の憧れがそう思わせているのだろう。
実際に見る川に挟まれたManhattanは、メディアで紹介されている大きな熱量に比べ、驚くほど狭かった。徒歩移動も簡単にできてしまうことは一目瞭然だった。
けれど、そんな小さな島のいたるところでは、世界各国から集まって来た人々が紡ぎ出す、膨大な人間ドラマが展開されているようで、ワクワクした。
室内展望台からエスカレーターでさらに上に行くと、今度は屋外展望台に出た。Manhattan上空の風を360度の角度から全身で感じ、下界から聞こえてくるかすかな喧騒を聞き、遮るものがない状態で地上70階から肉眼でManhattanを見た。
屋外展望台は2階構造になっており、狭い階段で上下に行き来ができるようになっていたが、ここまで高いと、上下に大した差はなかった。
両サイドの川、キラキラ光る水面、ゆっくり進む船、建設中の高層ビル、Empire State Buildingの上層階部を、真正面に見た。
やはり私の勝手な思い込みだが、Empireは私のManhattan上陸を、優しく歓迎してくれているような気がした。
Manhattanの中に、いったいどれほどの人がいて、どれほどの人間ドラマがあるのだろう。パッと見ると、東京都心の高層ビルから見る風景と、一見、似てはいるが、実際の街中と私の想いの違いの大きさを想いながら、上空の風を感じていた。
木のベンチに座って目を閉じボーっとしていると、一瞬どこにいるかわからなくなった。けれど、私は今、実際にNew York・Manhattanにいるのだ。Top of the Rockのてっぺんに。
到着から7日経っても、自分が35年以上憧れたNew York・Manhattanに居ることが、にわかに信じがたく、未だに全身がふわふわとしている感覚があった。
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