#216 気が重く、悲しくなったJFK空港・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月22日(木)22日目・・・2

ジャマイカ駅で電車を降りて、ホームからエレベーターで上に上がると、それぞれの路線に分かれるホールに出た。そう、3週間前に階段で降りようとして、紳士に驚かれたところだ。

あ~あ、あの時に戻りたいなぁ、と思っても戻れるはずはなく、このままJFK空港に行くしか仕方がないのが現実だ。

不思議なことに、来た時とはうって変わって、電光掲示板の表示がよくわかったし、アナウンスも聞き取れた。本当に不思議だった。
ジャマイカ駅からエアトレインの乗り換えも、スムーズにできた。
行きは12.5ドルだったのに、帰りは11ドル。
来たときはその12.5ドルの切符を、どう買って、どう支払ったらいいのかわからず、券売機の前でウロウロしながら心細かった。けれども帰りは、エアトレイン車内の駅名の表示も見つけられたし、アナウンスもしっかり聞き取れた。何もかもが3週間前とは違って、ほんの少し、ほんのすこぉ~しだけ、超初心者ではなくなった自分が嬉しくもあり、帰国しなければいけない悲しさもあり、複雑な心境だった。
そのせいか空港に着いて飛行機が見えても、3週間前に成田空港で見たときのような感動はなく、ドキドキせず、むしろ気が重かった。

荷物預けカウンターの列に並ぶ。他に並んでいるのは全員日本人。改めて日本に帰る現実を、嫌でも自覚せざるを得なかった。
日本でのチェックインシステムのようなものはなく、ふいに成田空港のAカウンターのおねえさんを思い出していた。

スーツケースを預けたら手持ち無沙汰になってしまった。
座りたくて、窓際に並んでいる椅子に腰かけた。
アフリカ系アメリカ人っぽい年配の女性が2人腰掛けていたので、2~3席開けて腰かけた。
すると手前に座っていた女性が、私に向かって何か話しかけていた。内容は理解できなかったが、どうやら私が座ったところには先約があるらしく、座ってはいけないようだった。おそらくそんな理解で合っていると思うが、しっかり把握できたわけではなく、何となくニュアンスで理解できている程度だったので、無反応でいた。
それを察知したもう1人の女性が隣の女性に、
「No English」〝彼女(私のこと)は英語が分からないのよ〟
と言っているらしかった。私が英語が理解できないことを悟ったのだろう。もちろん私はNo Englishだが、わからないなりに理解ができてしまったので、そこにいづらくなり、席を立った。

小腹が空いたので、近くの売店でマンゴージュースとクッキーを買った。
マンゴージュースを一口飲んでみるとやはり激甘で、水で薄める前のカルピスのように、濃すぎて飲めなかった。そういえば宿の近くのスーパーで、
でっかいカフェオレを買った時も、同じように原液かと思うほど濃すぎたので、水で倍に薄めて飲んでいたことを思い出した。

〝ううぅ~お水が飲みたい〟と思いながらクッキーをかじると、これまた濃厚というより激甘すぎて食べられなかった。けれど私は、飲食物を捨てることにものすごく抵抗と罪悪感があるので、そのまま持って、9ゲートに入るため、荷物検査へ進んだ。
するとマンゴージュースが検査に引っかかり、中国系の職員から周りに丸聞こえの大声で、「飲み物ダメっ!!!(多分)」(英語)と、叱られ没収されてしまった。

3週間前にJFK空港に着いた時には、次から次に親切な人に出会ってたくさん助けてもらったのに、帰りは椅子にも座れず、飲食物は激甘すぎてい飲食できず、捨てられなかったマンゴージュースで叱られて没収され、悲しいことこの上なかった。

荷物検査が終わってゲートの近くに行くと、お店やらフードコートがあった。〝なんだよ。ここにあるのなら、わざわざ甘すぎて食べられなかったクッキーと激甘で飲めなかったジュースは買わなかったのに〟

何だか都落ちする様で惨めだった。そして、ここに来てもまだ飛行機には乗りたくなかった。日本に帰りたくなかった。New Yorkを離れたくなかった。仕方なく、どよよ~んと重い気分のまま、搭乗までの時間をやり過ごした。
搭乗1時間ほど前に、最後のNew YorkをFace BooKに投稿した。
 
〝日本にいて、強烈に憧れていたニューヨーク。3週間滞在して確信したことは、30年余りの私の想いは、間違いじゃなかった!!!!!!ってこと。自分へのお土産は、私がニューヨークに残した約600,000歩の感触と、撮りまくった3,000枚の写真、そして大勢のニューヨーカーから、数え切れないくらいもらった、優しさと親切。Bye-bye。Thanks you、New York.〟
 
投稿直後に、私が勝手に約束の地と思い込んでいる聖地の社長から、コメントがついた。
【またなー♪】
げげっ、リアルタイムのコメント。仕事中のはすでしょ? ヤバイ、嬉しくて泣きそうだ。いや、泣いてしまった。
恥ずかしいので、照れ隠しに欲しくもない免税店をウロついて動き回り、気持ちをよそへ向けた。
そしてとうとう搭乗時間。足が重い。進みたくないのに、並んだ列はどんどん先へ先へと進んでしまい、あれよあれよという間に、機内に入ってしまった。

座席は行きも帰りも37K。通路から1番奥の窓側だ。空路を確認すると、日本に着くまでの14時間、ずーっと夜の場所を飛ぶようだ。New Yorkを夕方に出発して、日本に到着するのは夜の21:30頃なので、飛行時間14時間と、帰国後翌日の朝までの丸々24時間夜だ。24時間もお日様を見られない暗い世界は嫌だなぁ。それでも従うしかなく、気落ちしながら席に着いた。

心身の重いこと重いこと重いこと。気持ちはズドーンと沈み、体重が何倍にも重くなったように感じられた。

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