#26  ロングアイランド鉄道に乗ってAtlantics Avenue - Barclays Center stationへ・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月1日(木)1日目・・・26

Long Island Rail Road(ロングアイランド鉄道)に乗るため、コンコースを進むと、Long Island Rail Roadと書かれたホールに出た。
ここから、自分が乗りたい電車のホームへ行くための階段が、何本にも分かれていた。

そうそう、さっきJFK空港で、親切な2人組のおねえさんが書いてくれた絵の通りだ。

そして、3週間お世話になる宿がある、Atlantics Avenue - Barclays Center(アトランティック・アベニュー-バークレイズ・センター) stationに行くための、ホームに降りる階段を見つけた。
〝うわぁ階段かぁ、キッツイなぁ〟そう思いながらスーツケースの上にボストンバックを乗せ、それを、うんとこしょと引きずりながら、階段を2段ほど降りると、1人のおじさんがびっくりした顔で慌てて手伝おうとしてくれた。そう、ここはNew York。50すぎのおばさんとはいえ、女性が1人で大きな荷物を持って四苦八苦していたら、誰かが助けてくれる街なのだ。

「わぁ、すみません」
四苦八苦中なので、思わず日本語が出た。
言いながらふとおじさんの後方を見ると、ガラス張りのエレベーターが下りていくのが見えた。
「あ、あそこにエレベーターありますね。それで下りればいいんですよね? すみません」
と、1人で日本語で言いながら、1人で納得したが、おじさんには理解できるはずもなく、私は降りた2段分の階段を、また四苦八苦しながら上り、親切なおじさんにお礼を言うことも忘れてスルーし、エレベーターの前に移動した。

エレベーターの扉が開き乗り込んだが、押すボタンがどれだか分からない。
とりあえず “▶◀”のマークを押して扉を閉めることはできた。
止まっている大きな箱(エレベーター)の中に、ポツンと1人。
さあどうしようかと困っていると、ホームから誰かがボタン押したらしく、エレベーターは勝手にホームに降りてくれた。(あー助かった)
 
Long Island Rail Road(ロングアイランド鉄道)のホームに降りると、すでに電車が到着していた。慌てて乗り込み出発を待った。
夕方で少し混み合っている。居場所に困ったので、取りあえずドア近くに立っていたのだが、何故かドアは何度も開いたり閉まったりを繰り返す。
閉まりかけても、誰かが乗ろうとするとまた開くのだ。
あまりにも頻繁に開閉するので、少し怖くなって降りてしまった。
それなのに私が降りるとすぐに扉が閉まり、電車は出発した。
ああ、行ってしまった。だが、その電車が合っていたのか間違っていたのか、正確にはわからない。もし間違った所へ行ってしまっては大変だ。
ここは慎重になって正しい電車に乗りたいので、もう1度ホームに立ち、
行き先看板を確認すると、Atlantics Avenue - Barclays Center stationの文字が読み取れた。〝よし、間違いない。合ってる〟ホットする。
 
そういえば、宿のオーナーさんから、ロングアイランド鉄道ではホームを進行方向に歩き、出来るだけ前の車両に乗るようにと、アドバイスをいただいていたのだった。結果的に、さっき飛び乗った電車から降りてよかった。
ふぅ~と深呼吸をしたら冷静になれた。
 
ホームで電車を待ちながら周りをよく見ると、当たり前だが外国人だらけ。ほんの少しだけ怖かった。言葉がわからないし、トラブルが起きても対処できないし、困ったことが起きても説明できない。
ひったくりに遭ったらどうしよう、銃で撃たれたら、連れて行かれそうになったら、言いがかりを付けられたら……。ネガティブなことばかり浮かんでくる。
〝大丈夫、大丈夫。周りの人はみんな自分と同じ地球の人間だから〟
自分に言い聞かせる。それに、そもそも、よからぬことが起きそうな気配も空気感もない。どちらかと言えば穏やかな空気が流れ、どこかほのぼのとしているように感じる。しかも、話し声が英語なので、内容が理解できない私にはただのBGMに聴こえる。それがなぜか心地良い。私が勝手にネガティブになっているだけだ。そう考えると段々と穏やかな気分になってきた。
 
あたりはかなり暗くなってきた。あとどれくらいで宿に着けるのだろう。
早くオーナーさんにお会いしたいな。最初の問い合わせから2年。
出発前日まで、色々とアドバイスをメールしてくださって、そのおかげで心配事がずいぶんと解消された。だから早くお礼が言いたかった。
 
明日からは、精力的にマンハッタンの街を周るのだ。とりあえず今日は部屋でゆっくり過ごそう。そんなことを考えていると、またホームに電車が入ってきた。今度は冷静に乗り込んだ。

車内は混んではいなかったが、座れるところがなく、壁にもたれて立っていた。揺れが激しくストッパーが付いていないスーツケースが動いて転がっていかないように、必死に掴んでいた。
反対側の窓の外はいつのまにかもう真っ暗で、景色はまったく見えなかった。
〝大丈夫。このまま乗っていれば、Atlantics Avenue - Barclays Center stationに着くから。終点だから。駅から宿まではすぐだから〟
そう自分に言い聞かせた。

しばらくすると車掌さんが通りかかり、私に向かって何か言っているが、わからない。理解できない私を理解してくれた車掌さんは、
「チケット」
と一言。あ、そうだ。さっき空港で親切にしてくれた2人組のおねえさんたちが、ロングアイランド鉄道では、車内で車掌さんがチケットを取りに来るから渡してくださいって教えてくれたのだった。何と言って渡していいのかわからず、無言で差し出した。 

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