#94  30年前のテレビの前にタイムスリップ。・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月7日(水)7日目・・・9

Trinity Church(トリニティ教会)のおトイレを出ると、空はまだ少しだけ明るかったが、ビルに囲まれた舗道には、もう昼間のような明るい雰囲気はなかった。
しょっちゅう嘘をつくiPhoneのマップアプリで現在地だけ見てみた。
どうやらWall Streetにいるようだ。
それなら証券取引所やFederal Hall (フェデラルホール)にいけるのではないか。紙の地図を頼りに証券取引所の方向に向かって歩き出した。

夕暮れが近づいているようで、少しずつ暗くなり始めていた。
早くしないと夜景になってしまう。ライトアップされた建物ももちろん美しいだろうが、やはり写真集のように真昼間の青空の下に建っている建物の姿が見たい。
ウロウロしていると、本当に夕暮れになってきた。早くしないと暗くなってしまう。

突然、真正面に階段のある建物が現れた。どうやらあの建物で行き止まりのようだ。どこかで見たことがあるが、もう薄暗くなり始めており、よく見えなかった。きっと真昼間の雰囲気とはかなり違っているのだろう。
少しずつ近づき〝ああ! わかった。Federal Hall (フェデラルホール)!!〟

そして私にとって大切なことがわかった。
その昔、必死になってのめり込んで観ていたドラマ【ニューヨーク恋物語】のロケ地だ!! 桜田淳子さん演じる里美と、真田広之さん演じる坂入ちゃんが、会話していたところだ。階段を昇りきって下を見ると、〝そうそう。坂入ちゃんに別れを告げて、里美が職場に戻って行った舗道だ〟そうそう、ここだ、ここだ。今その場所に立ちながら、先日のGrand Central Terminal同様、脳内は30年前のテレビの前にいる自分にタイムスリップしていた。

ふと見ると、右側に証券取引所があった。

ええーっ!お隣同士なの? ビックリである。
New Yorkフリークから、〝そんなことも知らなかったの?〟〝本当に35年も憧れてるの?〟と呆れられそうだ。

夕暮れ時のWall Street。2つの歴史的建物は、私の中の遠い遠いずーっと遠い記憶の中にある、夢か現実かわからない、あやふやな回想に〝いいるよ。ここにいるよ〟と伝えてくれているようだった。

夜の帳が下り、すっかりネオンが主役になったWall Streetを歩きたかった。Manhattanの多くの建物は近代的なコンクリート建造物と違い、深く繊細な彫刻が施されている。外から見ただけでは建物内が何屋さんで、どんなふうになっているのか想像もつかないが、外観を眺めるだけでも美術館にいるような、情緒豊かな感覚になる。

夜のWall Streetも、建物がネオンに照らされて、美術作品を見ているようで気持ちが豊かになった。Wall Streetの夜のお散歩を楽しんだ。

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