#43 Union Squareのおトイレ・水道が止まらない!ニューヨーク1人旅  2018年11月3日(土)3日目・・・2

看護師さんと別れて、ふと前方を見ると、〝restroom〟と書かれたプラカードがぶら下がっていた。何とラッキーな! おトイレが近い私にはこの上なくありがたい。

テントの間の細い通路を入っていくと、日本の公園内にあるような、薄暗い建物の中に個室が2つ並んでいた。少し怖かったが、背に腹は代えられない。何か事件が起きたら大声で叫ぼうと決心し、恐る恐る入った。

手洗い用の水道が2つあり、すりガラスの窓のおかげで、よく見ると、思ったほど暗くなく、怖さは和らいだ。
女性が鏡に向かっていた。私が入っていくと何か話しかけたが切羽詰っていたし、英語で話しかけられることに慣れていなかったし、理解もできなかったので、引きつった愛想笑いをして急いで個室に駆け込んだ。

無事に用を済ませ、ホッとしたところで手を洗った。先ほどの女性はまだ鏡に向かっている。
あれ? 水道が止まらない。手を洗い終え、水を止めたかったのだが、自動のようで、スイッチもハンドルもない。こんな掘立小屋のようなおトイレなのに、水道が自動なのはアンバランスだなと思いながら、蛇口から手を放しても止まらない水道を前に困った。

私、壊したのか? いや、両手を差し出しただけだ。
すると鏡に向かっていた女性が何か話し出した。〝大丈夫、そのうち止まるわよ〟と言っているようだ。〝本当かなぁ〟と困惑していると、突然水はピタッと止まった。女性は〝ほらね〟という表情で私に目配せをして笑顔になった。ああよかった。
「Thank you」
とお礼を言うと
「You're welcome」
と返ってきた。
ここでも私のThank youが通じたことが嬉しかった。そして、こんな小さなコミュニケーションが楽しかった。
きっとNew Yorkはこういう街なんだ。知り合いとか他人とか関係なく、そこに居合わせた人同士が、コミュニケーションをとることが日常なのだろう。人懐こいとは聞いていたが、日本にはない、人と人との頻繁なコミュニケーションが嬉しかった。

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