#110・・・人生初・Majestic Theater     ニューヨーク1人旅  2018年11月9日(金)9日目・・・7

当初、ミュージカルを観る予定はなかった。
予定がないというより、はなっから観光行程から外していた。
英語が全く分からないし、チケットの買い方も知らないし、もしお金を払って寝てしまったらもったいなくて悔しいし、あまり興味もなかった。

ところが、先日訪れた聖地でも、宿のオーナー・陽子さんにも、他の宿泊客にも強く勧められ、気持ちが動いたのである。
〝人生で1度は観たほうがいい〟
〝騙されたと思って観てみて〟
〝最初は興味なかったが観たら感動した〟
〝7、8回観てるけどやっぱりいい〟
〝舞台装置を見るだけでも価値がある〟
など、かなり力説されたのだ。それならと、観てみることにした。
本当につまらなかったら途中でやめればいいし、眠くなったら寝ればいい。

19:00を過ぎ、そろそろ劇場に向かおうと、iPhoneの嘘つきアプリマップで場所を見て、だいたいの位置を確認した。

実は、宿のオーナー・陽子さんからは、劇場を出たら、Times Squareまで戻らなくても、すぐ近くに地下鉄の駅があるので、入場前に確認しておくと、帰宅が便利だと教えていただいていた。
けれども、あいにくの土砂降りだったことと、夜になって昼間より一層周りが見えにくくなっていたため、ぐるぐる歩いて迷子になりたくなかったので、確認はしなかった。
何より、宿の最寄りのAtlantics Avenue - Barclays Center(アトランティック・アベニュー-バークレイズ・センター)駅は、ほとんどの電車が止まるので、Times Squareに戻りさえすれば、問題なく帰れることが分かっていた。そのため、それほど不安も無かったし、劇場からTimes Square駅までは、大した距離ではない。

Starbucksを出ると雨は小降りになっており、しっとりと潤んだTimes Square全体が、キラキラ輝いていて綺麗だった。
不安定な嘘つきアプリマップを頼りに、Majestic Theater(マジェスティック・シアター)へ向かった。

Times Squareから7th Aveを通り、W.44th Stに入る。
通りの両側には劇場が並んでおり、入口の上にはテントのような屋根が出ていた。
この時初めて、1つの劇ごとに劇場があることを理解した。
それまでは日本で言う帝国劇場や日生劇場などの会場があり、あちこちの劇場で様々な舞台を演っていると思っていた。そのため、小さな入口の劇場が通りにずらっと並んでいることにもビックリしたし、1つの劇ごとに1劇場だったことにも驚いた。

嘘つきナビを信じ、W.44th Stをどんどん進んでいく。現在地の赤丸も同時に進んでいく。ところが行けども行けども【The Phantom of the Opera 】らしき劇場がない。
もう少しでW.44th Stの1ブロックが終わってしまいそうなところで、Phantomさんの白い仮面の看板が見えた。ああ!Phantomさんいた!! 
やっとMajestic Theaterに着いた時には、入口にはすでに列ができていた。

恥ずかしながら、ここに来るまで【The Phantom of the Opera 】に関しては、オープニングの音楽のストリングスの部分と、Phantomさんの白い仮面の顔しか知らなかった。後は、前夜少しだけ内容を予習した程度。そして英語が理解できないため期待度の低さと、寝てしまうかもしれない残念感があった。それでも初めての場所で、初めての本場ブロードウェイミュージカルに、心は躍った。日本にいてコンサート会場に着いた時のような、高揚感があった。

入場を待つ列はかなり長くなり、その列に馴染んだ自分が嬉しかった。
さらに、列に行儀よく並ぶのは日本人だけかと思いきや、入場を待つNew Yorkerの列は綺麗に1列だった。
大勢の人たちが、私には観光客かNew Yorkerかは見分けられなかったが、ManhattanのW.44th Stにできた列が、綺麗に1列で、割り込んだり抜かしたりのトラブルが無かったことが嬉しかった。
それは渡米以来、多くのNew Yorkerの優しさに触れてきたことが、ただの偶然ではなく、本物のNew Yorkerだったということに、さらに嬉しさが増した。

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