#167 ない! 手荷物を持ってないっ!!! 大変だっ!!!!・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月16日(金)16日目・・・6

アメリカの大好きなテレビドラマ【アグリーベティ】のロケ地でもある、Jackson Heights(ジャクソンハイツ)にある、ベティのお家を散々眺め、
カフェでまったりした後、スーパーマーケットを冷やかしに入って、手荷物を持っていないことに気が付いた。

いつもは、襷がけのポシェット1つで移動しているのだが、英会話レッスンがある日は、教材を赤いビニールの折り畳み袋に入れて持ち歩いている。
レッスンが終わるとポシェットとビニール袋を持ってあちこち移動しているのだ。

この日もレッスンの後Jackson Heightsにやってきた。
ふと気づくと、ビニール袋を持っていなかった。これはまずい。
明日からも英会話レッスンはまだ続く。どこでなくしたんだろう。
スーパーマーケット店内でしばし考える。

あっ! あのカフェだ! そうだ、おトイレに入ったとき、ビニール袋の置き場所がなくて、大きな蓋つきゴミ箱のような物の上にポンと置いて、スッキリしたところでそのまま置き忘れて出てきてしまったのだ。

ああ~大変だぁ!! 誰かに取られていたらどうしよう。
明日からのレッスン困るじゃん。まだお店にあるかなぁ。誰かに持って行かれちゃったかなぁ。それとももう捨てられちゃったかなぁ。お店を出てから、もう1度ベティのお家に行ったし、あちこちうろついて時間が経ってるし、もうないかもなぁ。
焦りながら、とりあえずカフェに戻って確かめることにした。

けれども、あちこちグルグル周って90 Street駅に着いたために、カフェの場所が分からなくなってしまっていた。しかも何も考えずにふら~っと入ったカフェだったので、店舗名もわからない。しかたなく見覚えのある風景を頼りに走って戻った。
すると、ゲゲッ、さっきあんなに感動して、今生の別れをしたベティの家に、また辿り着いてしまった。何をやっているのだ私は。
けれど、ベティの家から歩いて90 Street駅に行ったのだから、今生の別れの後に歩いた道を、もう一度行けばいいのだ。
ただし私は、方向オンチ選手権で世界一に輝ける、筋金入りのスーパー方向オンチ。
おそらく犬の散歩より短い距離を、30分ほどもかけて焦りながら探したのち、やっとカフェに辿り着けた。
しかも道路の反対側の、入った時と反対側から見つけたため、目の前にあるのにしばらく気づけないでいた。

あった! 急いで道路を横切り、急いでドアを開けて、さっき鍵付き穴開きおたまを手渡してくれたおねえさんに、息も切れ切れ訴えた。
「トイレッ! バッグ!! レッドバッグッ!!!」
息を切らしながら血相変えて、顔の前で長方形(布バッグの形)を作り、訴えた。

おねえさんはきっと何のことだかわからなかっただろう。でも、私が「トイレ」と言ったのをちゃんと聞き取ってくれて、何も言わず、さっきの鍵付き穴開きおたまを渡してくれた。
「Thank you!」
と言いながら急いでおトイレに入り、大きめの蓋つきゴミ箱のような物の上を見た。
無かった……。ああ、やっぱりないか……。そうだよな。あるわけないよなぁ。時間経ってるし、ここは日本じゃないし、アメリカだしなぁ。

おねえさんに忘れ物として届いていないか聞きたかったが、英語が話せないので仕方がない、諦めよう。明日エリザベス先生に事情を話そう。自分のミスだ。アンポンタンだから仕方がない……。
こんなに親切の塊のような人たちの街で、落とし物がなかったことが、余計にガッカリだった。
まあ、でも、無いものはないなら仕方がない。がっかりしたが、呼吸も整ったところで、しょんぼりしながらトイレを出た。

と、その時。
トイレを出た、誰も座っていない目の前のテーブルの上に、置いてあるではないかっ!! 赤いビニールの折り畳み袋が。
中を確かめると、教材がそのまま入っていて、びっくりした。
きっと、私の後にトイレに入った誰かが、忘れ物だと気づいてトイレから出し、出てすぐのテーブルの上に置いてくれたのだろう。それを誰も気づかず(気にも留めず?)そのままテーブルの上に置いてあったのだ。

ああ、助かったぁ~。
おねえさんに穴開きおたまを返しつつ、
「オンザテーブル、ありました、すみません、Thank you」
と、一応お礼を言った。思いっきりカタカナ英単語とコテコテ日本語だったので、おねえさんがどこまで理解してくれたかはわからないが、きっとトイレに忘れた物を取りに来たのだろうと、察してくれたと思う。
苦笑いしたその表情から、よかったねと言ってくれたような気がした。

それにしても、観光初日の黒カーディガンといい、地下鉄内で落とした携帯といい、今回の忘れ物といい、New Yorkは落とし物、忘れ物が戻ってくる街だとわかり、驚いた。まるで日本みたいだ。本当に驚いた。

ホッと一安心したところで、お店を出て、またまたベティの家の前を通った。これで何回目だ? 我ながら呆れる。
これだけ通ればもう未練はないだろう。

90 St-Elmhuest Av駅まで辿り着いた。今度はいつ来られるだろう。最悪もう2度と来られないかもしれない。いや、絶対にNew Yorkerになって、また来るよ。いや、無理かも、いや、来るよ、そんな思いを繰り返しながら、90 St-Elmhuest Av駅、Jackson Heights、バイバイまたね、と心の中で別れを告げてManhattanに戻った。






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