#166 鍵付きお玉と、無くなった手荷物・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月16日(金)16日目・・・5

ベティの家に別れを告げて、嘘つきナビを見てみると、すぐ近くに地下鉄の90 Street駅が表示された。
ベティの家の最寄り駅はJackson Heights駅だと思っていたら、実は90 Street駅で、家からすぐ近く、徒歩5分ほどだった。

Manhattanに帰ろうと、90 Street駅に向かって歩き出した。
けれども、やっぱりもう1回だけ、ベティの家をこの目に焼き付けたくて、戻った。
いい加減やめろよと、自分でツッコミたいほど写真を撮りまくったのに、
また真正面から撮って退散した。今度こそホントにさよなら。
もう1度そのブロックをぐるりと回って、駅に行くつもりでいた。
でもやっぱり、中々離れがたく、途中の角の小さなカフェに入った。

空腹で喉も乾いていた。嬉しくなるほど庶民的な、富裕層には無縁のような、場末のカフェ。
いつもManhattanで入っているStarbucksと違い、メニューが読めない。
注文できないので、パイを指さし、ドリンクは、
「カフィーホーットゥ」(ホットコーヒーのつもり)
と言ってみた。すると、なんと、通じたのである。しかも1発で。
すごいぞ私。

パイの中に甘い味噌のようなジャムが入っており、口に合わなかったが、
ミルクと砂糖2個を入れたコーヒーは、東京もJackson Heightsも同じで、
ホッとした。

さっきまでの日差しがなく、曇り空で残念だけど、外からも中からも丸見えの大きな窓が、気持ちよかった。

しばらくまったりしていると、店内の様子を見る余裕が出てきた。Manhattanに比べて、全然お金持ちではない、一般庶民が暮らす街の様で、その中にある、庶民的な小さな小さなカフェのようだ。
数種類のパンのほかにも、色とりどりのカラフルなホールケーキやカップケーキもある。

日本ではあまり見ない色使いやデザイン。ちょっと毒々しい感じは否めないが、アメリカを感じさせてくれるケーキたちが、ケースの中に並んでいる。

Jackson Heights駅から随分歩き、ベティの家にテンション上がり、カフェでやっと落ち着き、喉もお腹も満たされた。

さてと、おトイレに行ってManhattanに帰ろう。店員さんに声をかけた。「May I use restroom?」
おねえさんに言うと、コイルがついた、穴あきおたまを渡された。
え? どうして? 不思議に思いながら指をさされた方へ行くとドアがあり、そこがおトイレだとわかった。手渡された穴あきおたまには鍵がついており、外から鍵を開けて入るようになっていた。

中に入ると、2畳ほどの広さのおトイレの中は、こんなにしなくてもいいのにと思うほど、造花と電飾で派手に飾り付けられていた。

手渡された鍵を使ってトイレに入るなんて、いかにもアメリカらしくて嬉しかった。本当はそうでもしなければならないほどの、防犯対策なのだが、
怖い目に合っていない能天気な私には、アメリカの、しかも憧れのNew Yorkで、鍵を渡されておトイレに入ることが、New Yorkにいることを実感できて嬉しかったのである。

喉もお腹も満たされて、おトイレでスッキリしたところで、さあ出発。Manhattanに戻ろう。おねえさんに穴あきおたまを、
「Thank you」
と言いながら返し、お店を出た。

お店の隣のブロックをぐるっとゆっくりお散歩をしながらまわり、90 Street駅に向かった。駅は高架上にあり、下がスーパーマーケットになっていた。

せっかくだから見て行こう。
けれど、入店したものの、平日の真昼間で人がほとんどおらず、おまけに電気が暗くて、特に珍しい物も見当たらなかったので、つまらなくなって駅に行くために店を出ようとした、その時! 
手荷物を持っていないことに気づいた。え? ない! 袋がないっ!!
肩掛け鞄しかかけてない!!! え? あれ? あれれ???

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