#11 成田空港・いよいよ機内へ・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月1日(木)1日目•••11

「16:10頃からご搭乗いただけますので、しばらくお待ちください」
と、カウンター内のスタッフは、相変わらず冷静に言った。
どうやらこの52ゲートから飛行機に乗るようだ。
重要書類忘れ物事件で動転していた気持ちを落ち着けるため、
椅子に腰かけることにした。

壁一面が大きな窓になっており、そこから見える夕焼けがきれいに映えて、サテライト内に西陽が当たり、哀愁漂うオレンジ色の世界が広がっている。

大好きな夕刻の大好きな夕焼けを眺めていたら、気持ちは段々と落ち着いてきた。少しセンチメンタルになり、泣きそうになった。

敢えてゆっくりと周りを見回すと、広い空間に、caféや本屋、日本文化を紹介するコーナーまである。暇つぶしに見て回っていると、椅子に座っていた人たちがゾロゾロと動き出し、長い列ができた。どうやら搭乗が始まったようだ。近くにいる職員に尋ねた。
「あそこのトイレは、飛行機に乗る前の最後のおトイレですか?」
私の体質は頻繁におトイレに行かなければならない。けれど飛行機の座席が窓側なため、隣りの2人を越えていかなければならないので、迷惑をかけてしまうかもしれない。だからなるべく搭乗ギリギリに行っておきたいのだ。 

離陸前最後のトイレから出ると、搭乗の列はさらに長くなっていた。けれど少しずつ少しずつ前進している。よし、私も列に並ぼう。そうして1歩また1歩、前進した。そう1歩1歩。この小さな小さな1歩が、確実にNew Yorkへと近づいていく。1歩1歩、機内へと向かった。

 建物と飛行機をつなぐ通路はガラス窓になっており、夜の帳が降りる前の飛行場に、何機もの飛行機が浮かんで見えた。 
これまでの人生で飛行機に乗ったことなど数えるほどしかなく、前に乗ったのはいつだったのかさえ、もう覚えていない。
けれど、機内に入った瞬間に昔の記憶がよみがえり、懐かしい匂いを感じた。

座席の方に進むと、広い空間の半個室の座席が並んでいた。ああ、これがファーストクラスか。私のような一般平民がここに乗ることはないな。
一生無縁なエリアをさらに奥へ進み、自分の席に着く。前席との空間も座席の幅も想像以上に狭かった。実家を往復するときの、新幹線のぞみ号の方がはるかにゆったりしている。
37K席。座席に座り、右側の縦長に楕円形の窓から外を眺めた。 

航空機の乗客の乗降、貨物の積降、給油、係留を行うために、格納庫やターミナル前面に設けられた路面など、エプロンと呼ばれる場所を見ながら、
あと14時間ほどしたら、この同じ窓から、憧れ続けたNew Yorkの空港が、
この目で見られると思うと感慨深い。 心臓がドキドキした。

前席との間隔が近く、狭さは気になったが、私の身分では贅沢は言えない。まあいいではないか。New Yorkに行けることには変わりないのだから。

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